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041 <私に絵をかかせるもの:景色(上)>

景色を描かない絵描きさんは、いる。いるのだが、描かなくとも画布に現れ出る景色もあって、その意味でいうと、景色というものは、どの絵描きさんにとっても重要な素材である。私も景色は大好きなモチーフで、必要が無くても、いつもどこかに取り込みたくなるくらいだ。


絵を描いていて思うのは、景色や風景は、解釈の自由度が高く、それが現実であろうと架空のものであろうと、絵の中で容易に了解されてしまう。そんな風に思っている私だから、描いている景色のほとんどは、実際にあるのかないのかの分け目がない。簡単にいえばいい加減なのだ。


このいい加減というのが大事で(写実狂主義者や、二言目には「必然性」と言いたがる評論家風情の人達には、実に評判が悪いが)、瞬時にして満たされる場所や気持ちがしっくり来る光景は、実は心の中にしか存在しないのではないだろうか。


また、いつも見る街並みや木立ちが違って見える時、それは目に映った現実世界ではなく、それを描いて自分に説く心象風景そのものが魅力的なのだと思う。同じ山ばかり描いていた有名画家がいたが、彼にとっては、毎日違った山に見えたことだろう。きっとそれが素敵だったのだ。

    
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by ekakimushi | 2009-07-13 14:08 | 絵のこと | Trackback | Comments(3)
Commented by ontwerp at 2009-07-13 22:28
瞬時にして満たされる場所や気持ちがしっくり来る光景は、実は心の中にしか存在しない

そうゆうイメージをもてるからこそ、絵を描けるのだと思います。
それは一つの大変恵まれた才能だと思います!
Commented by freebird at 2009-07-14 12:20 x
成程。
そして、ontwerpさんのコメントにも、成程。

近頃、作文のお題を与えられても、すぐに書きたいことが浮かんで来ないわたしは、心のなかに文章を書けないでいるんだなー。
Commented by ekakimushi at 2009-07-14 13:42
常連のお二人様、今日もありがとうございます(笑)。

<ontwerpさんへ>
そういうもんなんすか…誰にでもあるように思えるのですが…。自分のことしか察知できない私は、それが他の人にも共通するもんだとばっかり思っていて、案外間違っていることがポロポロあるし。そういうもんなんかな…


< freebirdさんへ>

そうですか。それは難儀な宿題になりましたね。浮かぶというのは、肉体的にどういう状態なのだろう。感覚的にはよくわかりますが。きっと、体のどこかに隠れているんですよ、それって。例えば足の裏とか脇の下とかに(笑)。