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055 <私に絵をかかせるもの:熱狂(中)>

熱狂という言葉を思い浮べる時、そこには同義語のように「密集」という文字が必ず同席してしまう。なんでだろう。お弁当の中味が美味しそうにギュウギュウに詰まった様には興奮したり熱狂を感じるけれど、スカスカのノリ弁当には寂しさしか感じない。これでは説明になっていないか…。


何かがギッシリ詰め込まれた様子には、何かしらエネルギーがある。摩擦を伴う熱を感じる。押し合っているもの同士の反発力を想像する。それらを絵にすると考えた時に、自分の痕跡をそこら中に残せる快感を確信する。これがいいのだ、これが。密集って、暑苦しくて見苦しくて、本当に好きだ。


偏見に違いないが、スマートで洗練されていてオシャレな表現には、この密集というやつは、あまり適してはいないと思う。どちらかというと、土着的なパワーや宗教的な力強さや、悪趣味の権化なんかによく似合う。プリミティヴな要素が増殖するように群がる状態。これぞ熱狂だ。ああ、惹かれるなあ!


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by ekakimushi | 2009-08-12 00:49 | 絵のこと | Trackback | Comments(3)
Commented by onthenodo at 2009-08-17 22:15
Ontwerpさん経由でやってきました。onthenodoです。
『えかきむしのきもち』。遅くなりましたが、やっとお盆に買って読めました!のっけから扉の絵のノートと鉛筆がうねってるので、いっイカン、と思いながら震える指でページをめくると、少年の部屋から後、次々とめくるめくむせ返る様なファンキーでキンキーな世界が現れ出て…気がついたら僕は小学校の理科のじかんにかべにはってあったメンデルやらワットやらエジソンやらのかがくしゃのねんぴょうをまいどあきもせずじーっとながめるこどものころの“くうそうのむし”にもどっていました。せんせいはいっかいだけこわいかおでしかったけどあとは知らぬ顔をしてくれて、今思えば感謝です…。この絵本にはもぉ過剰なほどにいろんな顔が表情がそれこそ増殖する虫みたいにてんこ盛りでうるさいくらいやけど決して邪魔ではなくて、まるで付録が絵本の話の中に詰め込んであるようなお得感があって何回も絵本の隅々までジロジロ見て読んで楽しんでいます。〈字余りにつき続く〉
Commented by onthenodo at 2009-08-17 22:50
〈前のコメントから続く〉LPレコードでゆうたらダブルジャケットに加えおまけのブックレットが2冊もついた、エルトン・ジョンの『キャプテン・ファンタスティック・アンド・ザ・ブラウン・ダート・カウボーイ』や、ダブルジャケにインナースリーヴ、2種類の特製ポスター、更には立川直樹作成年表付きのポール・マッカートニーとウイングスの『ヴィーナス&マース』の嬉しいボリュームを連想してしまいました…いやはや。最後のページがまたいいです。笑いがこみ上げそうなくらい、絵を描く行為の痛快さに満ち満ちた本やと思います。
Commented by ekakimushi at 2009-08-17 23:34
こんばんは!お久しぶりっす。お元気そうで何よりです。

『えかきむしのきもち』を買って下さりありがとうございます。
相変わらず深く分け入った、寄り道満載の読み取りをしていただき、感謝感謝です。こちらの意図を充分すぎるほど受け取ってもらい、嬉しい限りです。随分遅くなりましたが、絵を描く思いを届けることができて、なんか、肩の荷が少し軽くなったような気がします。(仰るような付録が実際に付けられたらよかったなあ、と考えてしまいました。)今後ともどうぞよろしくお願いいたします!
拙いブログですが、どうぞまた遊びにいらして下さい。
(onthenodoさんのブログはウチの女将さんのお気に入りです。)