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093 <私に絵をかかせるもの:旅(下)>

もし旅が仕事だったら、旅の絵は描けるだろうか。う〜ん、なかなか難しいです。絵描き部屋に入り浸りの私みたいな生活者にこそ、旅は刺激に満ちているとも考えられるし、またインディ・ジョーンズのように更なる刺激を得んが為に、旅がよりエスカレートしてゆくタイプの人もきっといるでしょう。少なくとも旅は衝動とインテリジェンスに満ちていると思います。それは真の娯楽に不可欠な要素でもあります。


旅の絵から帰還するときにいつも思います。「よく遊んだけれど、まだ遊び足りないし、本当に行きたい場所へまだ行っていない」と。まだ行っていない場所って、どこなんだ?それを捜してばかりいる自分にたまに気がつくときもあります。音楽を聴いているときや、食べ物の匂いをかいだときなどに、「あっ、ここだ」と思える瞬間があります。それを絵にすると、スルリと逃げてしまうだけで…


旅における二つの大きな命題。なぜ人は旅に出るのか。なぜ人生は旅に例えられるのか。その答えを私は知っています。旅の絵を描いているときに、その旅の中で教えてもらいました。なぜ人は旅に出るのか。終わりがあるから。なぜ人生は旅に例えられるのか。どちらにも始まりと終わりがあるから。禅問答みたいですよね(笑)。これが私の今の心境です。さ、それでは、ぼちぼち旅立ちますか。絵の中で、ね。


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by ekakimushi | 2009-10-31 11:51 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)