142 <映画『アバター』>
CGというものがどこまで進化するのかわかりませんが、現状を更に越えるツールが出てきた時、『アバター』は作品として評価され続けるものでしょうか。オリジナリティやストーリーに見るべきものを感じなかったので、私は時間とともに消え去る運命にある映画だと思いました。他の作品やいろんなジャンルからの拝借で固めたとおぼしき箇所が、とても気になりました。またテーマも困ったもので…。
好戦体質の国民性そのまんまのヌケた登場人物達、温暖化による危機感をモチーフにしているあざとさ、キャラクターのセクシャルなフォルムの安さ。はあ〜、こういうのに文句を言い出したら止まりませんわ(苦笑)。監督さんはヒット作メーカーなのはわかりますが、話題作りの上手さに比べて、どうしても作品自体の深みに欠ける傾向があるなぁ。描かれる人物に全く魅力を感じないのです。
批判ばっかりも何なんで、少しはいい点を。草木類の描写にはうっとりしました。相当取材や下調べをしたと思う。あんな風な絵を描きたいとは思わなかったですが、随分と手が込んだ力作なのはわかりました。それとエキサイティングな場面での、構図の不安定さが醸し出すスリルはいつもながら素晴らしいです。3Dを最大に体感する為には、前の方の座席に陣取ることを御薦めします。
実は上映前にマクドナルドで、ニューヨークバーガーという期間限定のドぎつい品を食しました。お客さんへの大きなアピール度や、中身の味の大雑把さ加減が、ついつい『アバター』と被っているなぁと感じました。最後に些末な感想なのですが、主人公が巨人のストッパーのクルーンに、ヒロインがドリカムの吉田美和に、それぞれ見えて仕方なかった!私の感想の方がよっぽど貧困ですな(汗)!
メガネonメガネ!なんか、水中眼鏡onメガネみたいな不自由ですね。慣れるかなと思いましたが、3Dめがねが使い回しの為か、レンズ部分に細かい傷が入っていて、最後まで気になりました。耳や鼻にかかる負荷もそれだけ高いし。
宮崎アニメと比べると、『アバター』は荒っぽいアメリカンテイストの寿司屋みたいなもんか。どうしてもこだわるポイントが違うようで、全体の印象がざらついて残るのです。で、マクドナルドの次なる新製品はキャメロン・バーガーでどうですか!(笑)。
『インビクタス-負けざる者たち』はイーストウッドなので、切り口が楽しみなのと、勧善懲悪のような紋切り型の価値観を否定してくれる期待感がありますよね。
私も近いうちにゆくとします。