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343 <東京個展日記(上)>

昨夜23時頃に一週間振りに大阪へ帰ってきました。その前に三重の津へも行ったり来たりしていたので、一ヶ月振りのような気持ちがします。ようやく日常が戻ってくる安堵感はあるものの、部屋の中の荷物整理や個展の雑務処理、止めたままの作業の再開が待っていることを考えると、いったいどこから手を付けたらよいものなのかを思案するところから始めなければならない具合です。まずは心の整理ということで、ブログからスタートですわ。行動の順番はこれであってますかね(笑)。


搬入日。
◯お昼過ぎにギャラリーに到着。羽田空港から順繰りに街の様子を見てきたが、震災の影響を殊更強くは感じなかった。ただ、いつもは街全体に圧倒されるようなエネルギーや物量を感じるのに、今回はどこかションボリしたようなところがある。全てが蘇生の最中にある時にやってきたのだなと思う。
◯前回と同じギャラリーでやるので、気持ちの上ではとても楽。オーナーの藤波さんとも昨日会ったばかりのような感じで全く助走なしで話しが始まる。大方の構成を決めてから、アルバイトでイラストレーターの佐々木一澄さんにも手伝ってもらって作業開始。すいすい展示が進む。なんと手際の良いことだろう!私はウロウロしているだけで、ほとんどなにもしていない。やっぱり餅は餅屋だ。そういえば前の時もそうだったなあ…。
◯16:00過ぎに展示終了。早々にギャラリー巡りへ。まずはギャラリーエフの亀澤裕也さんの個展『今日は天気も良くなって』へ。作品数が多くてぎっしり。亀澤流ほのぼのがあちこちに満開。景色の表現に変わろうという意志を感じた。亀澤テイストに注目する歯医者さんから亀澤さんとの出逢いの摩訶不思議をお聞きする。めちゃくちゃおもしろい!
◯曙橋からすぐのえいじうへ石川武志さんの個展『ボクノマチ vol.3』を見に行く。初めて行ったギャラリーさんだが、とても落ち着く。石川さんの絵も色彩を同系統にまとめた統一感のあるもので、箱にマッチしている。時期が時期だけに震災にコミットした内容とも受け取れるが、それも作品の懐の深さがあってのことだ。いい展示だと思う。
◯おなかが減ってきたので、予定を変更して原宿のシーモアグラスへ。食べて喋って絵を見ようという目論みだったが、営業時間が18:00までに変更されたそうで食事にありつけず。オーナーの坂本さんの仕込み作業も無視して20:00まで話す。なんといい空間、いい時間なんだろう。地震のことも忘れてしまうほどだった。しかし腹は減った。
◯東京へ出てくると必ず行くラーメン屋へ。ガツンと食べようと思ったが、思いっきり自粛ムードで食欲まで萎える。威勢のいいかけ声が売りのお店なのに。こういうことがあると自粛が萎縮と同義語になっていると感じる。お勘定を済ます時店員さんに「ラーメン屋さんにガッツがなかったらあきまへん!」と言わなくてもいいことを言ってしまった。
◯9:30にホテルに着いて部屋へ入ってビックリ。おいおい、冷蔵庫がないぞ。椅子が壊れそうなぐらいグラグラだぞ。壁の絵はヒン曲がっているぞ。調度類の整えの見栄えがエラく悪いぞ。う〜ん、これは震災とは関係ないんじゃないか…フロントに電話してあくまでやさしく実情を伝える。これは先が長そうだ。


個展初日。
◯私が以前勤めていた会社のネットワークサービス部門の方が、開展早々取材に来られる。写真を撮って画像をアップしていだくことに。(http://www.museum-cafe.com/)凄いな。会社って生き物だなあ。私は原稿を持って右往左往するのが仕事だったから、尚更ウェブでの事業発展に驚いてしまう。
◯すぐ近くのHBギャラリーへD.M.を届けがてら、きたざわけんじさんの個展『さくら色のかぜ』を見にゆく。流石売れっ子イラストレーターなだけのことはあるセンスとクオリティ。きたざわさんの絵を見た人が次に私の絵を見たら、ジャガイモのような作品に見えるんだろうな。いやあ、ちがうわ…
◯クリパチ主催の小山英夫さんが来廊。お変わりなく威勢がよくて妙に安心する。会社名の通り画像をパチパチ撮ってゆかれた。(http://www.cre-8.jp/pickup/pickup.php?pickup_id=442)
◯前回に続きイラストレーターの伊藤正道さんが来て下さる。しかしどこか様子が変。お話を聞くと、原発に対する不安が私ら大阪在住者とかなり違うことがわかる。福島原発の現状の知識も私などとは全然違う。こんなハイな伊藤さんを拝見するのは初めて。伊藤さん、頼みますから絵のことを聞かせて下さいよぉ!これはもしかしたら厳しい個展になるかもしれないぞ…。
◯イラストレーターさんやデザイナーさん、マーケッティング関係者の方が次々と来廊。なかなか調子いいな。東京で個展をやっていると実感できる。お客さんとの対応も、ついこの前まで『とびだせ!みえの絵本作家たち展』で飽きる程ほどやってきたから、身体ができているようで実にスムーズ。
◯絵本・児童書界の大御所の一人、篠崎三郎さん登場。前回は緊張したけれど、今回は不敵にも平常心だ。以前からテクニカルなことで尋ねたいことがあったので思い切って聞いてみる。澱みなく話されることの深いこと重いこと!一気にこちらの背中まで滲みて伝わってくる。なんとありがたいことだろうか。
◯続いて入り口扉の向こうに白髪の人が。うわ、イラストレーターの田中靖夫さんだ!前回は最終日、今回は初日なんだ。田中さんは震災当日に個展をされていらっしゃったこともあって、大変だったそうだ。絵について質問をされ、気になる感想もお聞きし、帰り際に「君のファンだから」と分不相応な勿体ない言葉をいただく。しばし自分を見失いそうになった。
◯大物は続く。イラストレーターの舟橋全二さんがスクールの生徒さん達と来られる。舟橋さんが動くのを見るのは初めてなので、それだけで興奮した。そりゃ動くわな。後からイラストレーションファイル誌の編集長片桐淳一さんも。濃いな〜。できたら別々で来てほしいのに。両者とも作画方法について尋ねられる。すみません、ジャガイモなもんで、どこにでもあるそこらの画材で描いているんです。舟橋さんが弁に火がつく前に立ち去られたのが残念だった。噂では凄いらしいから、是非聞いてみたいものだった。
◯エディトリアルデザイナーのKさんが来廊。前の東京個展のときはお忙しくて見てもらえなかっただけに、今回はとても丁寧に見て下さりうれしかった。いろいろとお聞きして、実は年齢や嗜好性が案外近いことを知る。業界の脂ぎったところが感じられない、純朴で落ち着きのある人だ。絵描きさんから信頼されるのもよくわかる。
◯K社の編集者Tさんが来られる。溌剌さが変わらないなあ!これがこの人の常温なんだ。あれこれ話しの中で面白そうなことをお聞きする。伝わりが早いし、鮮度がとてもいい。複数回会うことってやっぱり大事だな。

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by ekakimushi | 2011-04-07 12:34 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)