469 <ツイッター音楽録>
ドニー・ハザウェイ『ドニー・ハザウェイ』
何度聴いても素っ晴らしい唄、演奏、編曲に深~いため息。わずか3枚のスタ録アルバムの中でも、ひときわ余韻が沁み入る。唯一の自作曲「TAKE A LOVE SONG」の拡がりのなんと哀しいこと…今なお惜しい人だと思う。
ドニー・ハザウェイ『エクステンション・オブ・ア・マン』
いつ聴いても感嘆する。音楽センス、技量、知識、唄心、広報力、そしてソウル。全てが揃いも揃った見事な一品。やっぱりスタ録ではこれだろうな。ラスト曲「I Know It's You」の後には深~い余韻が…
タジ・マハール&ザ・フラ・ブルーズ・バンド『ハナペペ・ドリーム』
発売からもう10年以上、すっかり初夏の定番になった。オリジナルもいいし、渋い選曲のカバーも最高、セルフリメイクの必然に納得し、トラッドへの深き愛情に頷く。ああ、麗しのハワイ航路、ああ、マヒナスターズ…明日も聴こう!
田中峰彦『ミネラル・ファンタジー』
シタールの名手としてつとに名高いが、メロディメイカーの才も半端でない。曲によって異なる共演陣と自由自在に融和するスタイルにため息連発。まるで海の中の生き物のように優雅。栄養のある音楽を演ってはります。朝っぱらからインドへ行ってしまいました。
スライ&ザ・ファミリー・ストーン『スモール・トーク』
前作『フレッシュ』の延長線上にある、インドア&パーソナルなアルバム。ポップな曲も多いし、血管ブチ切れ寸前のファンク「ルース・ブーティ」はスライの中で最も好きな曲だ。シド・ペイジによる気色悪いヴァイオリンの音色が助演賞もの。
ドアーズ『L.A.ウーマン』
昔から好きになれない。無理矢理ブルーズと息抜きポップスのアンバランスにいつも苦戦。サポートメンバーの技量は確かながらも、音質の向上にも違和感が。編集の際の曲順の配置が上手くハマって評価に繋がったと思う。デビュー4年も、年老いたバンドを聴くようだ。
アイズレー・ブラザーズ『ゲット・イントゥ・サムシング』
身内の若手兄弟達が全面参加。ホーンに弦に女性コーラス、片っ端から黒くていいねぇ。旧B面のメイク・ラブもの連発が暑い季節にぴったり。まるでニュージャージー産スウィート・ソウルような甘濃いさが、夏バテした心にしみ入ります。
ネーネーズ『夏 ーうりずんー』
実験もほどほどに、季節感を多面的な表現でスライスしてみせた佳作。この頃は知名ユニットの絆も相当に強かったのでは。晩年の嘉手苅林昌をフューチャーした「かいさーれー」は絶句する素晴らしさ。古きと新しきが、アルバムのそこかしこで、絶妙に交錯している。
アリサ・フランクリン『アメイジング・グレイス コンプリート・レコーディングス』
コンプリートものは商売っ気臭いものばかりだが、これは違う。目を閉じて聴くと1972年1月13日と14日のL.A.バプテスト教会に居る錯覚が。チャック・レイニーのベースプレイはアリサ並みの凄さだ。
デヴィッド・T・ウォーカー『プレス・オン』
オードから出た中では、これが一番好き。面子はキャロル・キング『ファンタジー』の制作&ツアーメンバーだけに鉄壁!当のキャロルも客演。まさにシンガーソングライター・ブームとニューソウル・ムーヴメントの交差点に位置する作品となった。
ニール・ヤング『ハーベスト』
アナログは盤もジャケットもすっかり擦り切れてしまった。心のひだに引っかかる歌ばかりで、聴き終わるといつも冷静な自分になれる。若い頃、いつかこのアルバムを聴きながら一人旅をしたいと思っていた。それが実現した日の夜、大きな月が出ていたなあ。
タワー・オブ・パワー『アンソロジー』
10年ほど前にこいつが出た時は本当にうれしかったな。「オークランド・ストローク」の完全版とか「シンプル・アズ・ザット」のタワー・ヴァージョン収録。音質はいいし、ライナーは気合い十分、初見の写真も多数。今もライノの方に足を向けて眠れない。
ジ・インプレッションズ『ヤング・モッズ・フォゴトゥン・ストーリィ』
一曲目に短めのタイトル曲でオープニング、二曲目とラストにラディカルなメッセージソングを配置して出入りを固め、それ以外は全てラブソングで埋めた構成がお見事。どの曲も粒よりで鮮度・艶ともに言うことなしの好盤。
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ『バビロン・バイ・バス』
高校生だった頃か。もっと遅かったという気もする。当時ラジオでよく聴いた「IS THIS LOVE」をお風呂でがなっていたら、母親に近所迷惑になるからやめろと叱られて、ジャマイカ気分も吹っ飛んだ哀しい記憶が蘇る…。
パーラメント『アンカット・ファンキー・ボム』
1990年に出たベスト盤。ヒット曲の8割を網羅した一枚であるがゆえ、著しく食い足りない。タイトルに偽りありの曲中カットも。結局オリジナルを聴かねばならなくなる。なら最初からベストものに向かうなよ!と毎度自分につっこみたくなるCD。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニューズ『フォー・コーズ&セブラル・イアーズ・アゴゥ』
近頃さっぱり音沙汰なしのヒューイたち。しかしメジャーであるなしは奴らには大して関係なし。しぶとく地元で生き延びてさえくれたら、あとは17年も前のこんなナイスなカヴァー集で、充分満たしてくれるから。
ライ・クーダー『プル・アップ・サム・ダスト・アンド・シット・ダウン』
この冬の強力ヘヴィローテ。CDプレーヤーに入ったが最後、出て来る気配なし。かつての傑作『紫の峡谷』を思わせる作風で、特に中盤のブルーズ4連打が最高だ。きっとジョー・リーも草葉の陰で喜んでいることだろうよ。
CCR『マルディ・グラ』
評判悪し。確かに曲によってはオイル不足でスカスカ。いい時に比べると瞬発力・練り込み・ひらめき・粘りが大きく抜け落ちて廃車寸前の印象。しかしですな、このスコ~ンと空っぽのドラムカンみたいなところが、妙に南部の過疎地みたいでリラックスできるのです。
大塚まさじ『風のがっこう』
イントロのギターだけで傑作の予感が。練り込まれたコンセプト、シンプルで味わい深い歌詞、演奏の芳醇な膨らみ、そしてあの歌声。震災後に喪失感を感じた人、あなたの失ったものがここに歌われています。時を経ても一向に色褪せない、永遠のまさじクラシックス。
ローリング・ストーンズ『メインスリートのならず者』
LP2枚組にドサッと放り込まれた18曲全部が、ガサガサゴソゴソこすれ合っているのがいい。唄や演奏が落ち着きなく、そわそわしているのがいい。メンバー個々の持ち場の演奏に拘っていないのがいい。「スイート・バージニア」が一番いい。