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566 <夢みる歌謡曲1970(上)>

今年もやってきました、年末恒例<夢みる歌謡曲>!(なんのことかよくわからない方は日記No.294~296、427~429を参照して下さい!)今年は1970年の特集です。万博があったこの年も多くの名歌謡曲が生まれました。その中から私の好みだけで選んだ9曲を振り返りたいと思います。
さあ、それでは行ってみましょうか、バック・トゥ・1970!


566 <夢みる歌謡曲1970(上)>_f0201561_7395775.jpg◯「走れコウタロー」:ソルティー・シュガー

競馬のことなんか全く知らなかったが、この曲で競馬アナウンサーがテープの早回しのような早口で喋らなければならない職業なのだということを知った人は多かったにちがいない。そしてこんなレース中継を歌の中に盛り込んだセンスに大いに驚いた。後に海援隊の「母に捧げるバラード」における武田鉄矢の長い語りを聴いたとき、私は即座に「走れコウタロー」を思い出し、これはパクリではないのか?との疑問を持ったものだった(全然違うじゃないか!)。音楽スタイルとしたら「走れコウタロー」はブルーグラスだった。景気のいい間の手がやたらと煽るので、聴く側もホイホイ乗せられたし、〜今日はダービー めでたいな〜と唄われると、子どもながらに妙にそんな気分になったものだったから、あれはあれで音楽のマジックだったと思う。ただ単にこちらがめでたかっただけかもしれないが(笑)。
今聴き返してみたら、高度経済成長路線から外れた人たちを競馬ファンに見立てた、厭世主義を感じさせる気がしないでもない。人生の充実は個々で違うものなのだ。それがなかなか通らなかった時代だったのだろう。


566 <夢みる歌謡曲1970(上)>_f0201561_741810.jpg◯「四つのお願い」:ちあきなおみ

前川清に匹敵する女性シンガーといえば、それはちあきなおみだと思う。コロッケのものまねを持ち出すまでもなく、ちあきなおみは歌唱自体がジャンルになっているような人で、何を唄っても彼女が唄えば、それはちあきなおみの曲だった。おまけに容姿も化粧も濃厚妖艶だった。つまりこの人は何を目指している人なのか、小学校4年生の私には図りかねるものがあったのだが、言うに言われぬ色気を唄とルックスから感じたものだと思う。歌謡番組などでは、たぶん、ほぼワンピースのロングドレスで出演していたのでは?メイクもドス濃い、ドロリとしたもので、そこへあの唄である。テレビ前で彼女の歌唱に引きずられるような錯覚がしたことを憶えている。
「四つのお願い」はそれでもまだポップな歌だったので楽に聴けた方だが、曲中のねだり方が相当にしぶとい。言い出したら聞かない感じがよく出ていると思う。後年ジャズのアルバムを聴いたが、ブルーズを聴いた時に近い疲れを感じたな。そう、ちあきなおみはブルーズシンガーだったのだ。


566 <夢みる歌謡曲1970(上)>_f0201561_7421731.jpg◯「白い蝶のサンバ」:森山加代子

早口言葉のような歌謡曲として随分子どもたちにウケたナンバーで、近年作詞が阿久悠だったと知って納得した。当時の彼でなければできないような実験だった。ラップやヒップホップに慣れた耳で今聴けばなんということもないのだが、当時は何をそんなに慌てて唄っているのか、おかしくて仕方がなかった!後年サザンオールスターが出てきた折に、ピンときたのがこの曲だった。そのくらい一聴して耳に残るものがあったのだから、阿久悠の仕掛けにまんまとハマったわけである。
森山加代子は私の親の世代では洋楽のカバー歌手で名の通った人で、暫く振りの第一線復帰作だったため、母が随分驚いていたのを憶えている(サンバってなんだ?と尋ねても、まともな答えは返って来なかったが…笑)。結果は大ヒット、紅白歌合戦にも出場して大いに盛り上がった。ジャケットを見てもわかるように、ルックスがどことなくバタ臭くて、洋楽カバー〜サンバに繋がるルートに納得できる節もあるが、やっぱりリズム感がフィットしたのだろう。
by ekakimushi | 2012-12-18 07:51 | 音楽えかきむし | Trackback | Comments(0)