628 <混合画法というセンス>
私は木を見て森を見ない典型的な男なので、目の前の鉛筆に相性を感じたら、他のたくさんの画材が目に入らなくなる傾向が大です。組み合わせなんてとんでもない。ひたすら鉛筆をカリカリやって時間が経ってしまいます。そして終わってから「ああ、別な画材と併用したらよかったのかな…」と後悔する日暮れを何度味わったことでしょうか(苦笑)。
そんな習性もあって、画材の混合技法には極めて疎い。たまに素晴らしく上手いバランスで異種画材をまとめて使っている作品を目にすると、自分の原始人並みの文明適応能力に愕然とします。知らないなら仕方がないけれど、知っていて使いこなせない。持っているのに思い浮かばない。軽く疼くこの気持ち、でも誰にも文句を言えないわけで。
自分なりに分析してみると、やはり怖いのでしょうね。ある一つの画材で完結できる作品に、敢えて別な画材を放り込むことで、異なる質感が生まれバランスや世界観の崩れることが。上手い人はその崩しや見極めが絶妙であり、混ぜることで作品が雑食性を育て豊穣になる。私もそういうの、できるようになりたいなあ。
それで、私もやってみることにしてみたのですが、如何せん小心者なので遠慮の塊です(笑)。まさにプチという感じ。描いていて攻めていない。絵にご機嫌を伺っている。他人の家でかしこまっているみたい。そんなの駄目じゃないか!そうは思っても不器用さんはすぐにはできないから、ちょっとずつ、ちょっとずつ。
混合画法というセンスは、
料理における食材組み合わせの化学変化を感じるシュミレーションによく似ていると思う。
わかる人って、
味見もしないのにお皿の上に盛りつけられた香りまで読めるもの。
食べてもわからない私と大違いだな。
CGなんてのには肌が合わなくて移れそうもない。
ずっとこうして油と格闘していく予定。
でも、モデリングペーストやつや出しやつや消しのスプレーなど、10代では使えなかったモノが手に入り、妙に進化を感じます。のろのろと牛歩のごとく・・・