666 <ウラニシ>
漢字では浦西という字があてられるようです。私の実家がある舞鶴は日本海に面した港街なのですが、日本海沿岸では年間を通じて吹いている西寄りの風がこの季節になると北へ廻り、寒さと吹雪を運んできます。この風のせいで、晴れていたと思ったら急に曇って雨が降ったり、雨が降っていたと思ったら虹が出て曇から晴れ上がったりする、実に不安定な空模様が頻発します。この北西の風がウラニシです。『弁当忘れても傘忘れるな』という言い回しがあるのも頷けるところでしょう(笑)?今月の京丹後市のHP上の半旬別気象情報にも、こんな一行が掲載されていました。「冬の前触れ11月第3半旬(11日から15日)は、11日に平野部で初霰がありウラニシの天候になりましたが、平均気温は平年に比べ高めとなりました。」
もちろんこのせわしない天候の変化は子どもの頃から知っていましたが、それがウラニシと呼ばれていることは5年ほど前まで知りませんでした。たまたま友人がネット上で使っていて気になって調べて知ったのです。それ以来ウラニシという言葉の響きにすっかり魅せられてしまい、あの不穏な気象全般はウラニシと呼ぶしかない気がしています。くぐもった暗い空にウラニシが吹き始めると、雹が降り雨混じりの冷たい風が吹き荒れるのです。実家は海のすぐ近くで、飛び出して海岸へ走って行くと、沖の空はオレンジ色に染まっていて、その上には蜷局を巻いたような黒ずんだ雲がのしかかっていたものです。ふるさとを離れてもう35年近く経ちますが、あの光景を想い出すと、子ども心に未来への不安を感じていた舞鶴での少年時代が蘇ってきます。
この冬はウラニシの絵を描いてみようか!