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671 <夢みる歌謡曲1971(上)>

この年の瀬もやってきました!年末恒例<夢みる歌謡曲>の出番です!言ってみれば、このブログの紅白歌合戦みたいなもんです。今年は1971年の特集。いい曲が多過ぎて、泣く泣く9曲に絞らせてもらいました。さあ、それでは行ってみましょうか、バック・トゥ・1971!


671 <夢みる歌謡曲1971(上)>_f0201561_18205022.jpg◯「さらば恋人」:堺正章
イントロの太鼓がちょこっとフィル・スペクターっぽくて、そこへ被さってくるストリングスのメロディだけでもう涙が出てしまう!今もカラオケに行けば必ず唄う、大好きな曲です。作詞は北山修、作曲は筒美京平のコンビですが、北山修の詞世界をアレンジで映像的に表現した筒美京平の編曲力が素晴らしいと思う。当時テレビでは歌謡番組が数多く存在しており、歌謡曲大好き少年だった私はこの曲が流れると、何を置いても最優先で聴き入ったものです。前年にスパイダースが解散して、バラエティ番組では重宝されていた堺正章でしたが、この曲の大ヒットによってソロ歌手として世に認められたという意味でも、彼にとっては極めて重要な作品になりました。懐かしさと同時に、ほろ苦い別離の気持ちが我がことのように蘇るのは、全ての人の心に宿る共通の感情なのかもしれませんね。


671 <夢みる歌謡曲1971(上)>_f0201561_18213017.jpg◯「京都慕情」:渚ゆう子
元々はベンチャーズがインストゥルメンタルのシングル曲として「Reflections in A Palace Lake」の名前で発売されたものに、林春生が歌詞をつけたもの、というのはかなり後になって知りました。前年に同じくベンチャーズの手による「京都の恋」の大ヒットで彗星の如く現れた渚ゆう子は、少し濃いめのルックスだったせいか、私ら小学生にはちょっと手が出なかった(笑)のを憶えています。この頃の歌手って、若くても充分水商売風の色気を醸し出してましたから。歌詞にある河原町、高瀬川、嵐山、東山、桂川といった京都の名所を知りもしないのに~遠い日は二度と帰らない 夕やみの東山~と家の軒先で唄っては母親に叱られていました。何をしても叱られていた子どもだったのです。演奏中のお琴の音色がいい味を出していました。それと、やっぱりベンチャーズ!子供心に、外国人にこんな日本情緒の豊かな曲が書けるのか、と驚いたものでした。


671 <夢みる歌謡曲1971(上)>_f0201561_18223410.jpg◯「17才」:南沙織
この頃から沖縄にルーツを持つ芸能人はそれなりの数にのぼっていたようですが、その中でも抜きん出たスターは南沙織だったと思います。南の島からやってきた、日に焼けたロングヘアーの無垢な少女という設定は、子どもにも充分にわかりやすかった。シンシアはそんなイメージ通りに可愛らしくて健気でした。テレビで彼女の不機嫌な様子を見たことがなかったし、どこかカメラに対して遠慮気味でした。今思うと、シンシアは返還前の沖縄を体現していたのかもしれない。本土の都合で蹂躙される運命にあった沖縄と、控えめでどこか居場所のない様子の彼女とが、どうしてもダブってしまうのです。作詞有馬三恵子・作曲筒美京平の鉄板コンビが敷いたレールに乗って、シンシアはまるで翌年に返還される沖縄の光と陰のイメージを担うかのように唄っていました。その様子が私は忘れられません。
by ekakimushi | 2013-12-23 18:28 | 音楽えかきむし | Trackback | Comments(0)