733 <つぶやき音楽録Vol.3>

いやはや、昨日は大変な雨風でした。それが嘘のように晴れ渡っている今日の空を見ると、目の前の些細な物事に捕われるのが馬鹿馬鹿しくなってきます。天候一つで儘ならない物事も多く、全部が全部を自分の意思で貫き通すことにアイロニーを感じるお昼です。こんな日は機嫌が良くなる音楽を聴いて、心を空へ飛ばしたいです。
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タジ・マハール『タジ・マハール』
元々がブルーズコミュニティ出身でない彼が、何故に無理矢理な力技のブルーズアルバムでデビューしたのか。おそらくビル・グレアム・コネクションがその原因ではないだろうか。苦しげな唱法で吠えるタジさんを聴くと、後のしなやかな音楽性が感じられず辛くなる。

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仲井戸麗市『THE仲井戸麗市BOOK』
1985年の発売当時から、一度も離れることなく聴き続けてきた愛聴盤。引きこもりミュージシャン、チャポの毒や追憶が、全編にみっちり敷き詰められている。相当なストレスを抱えていたであろうことが想像される歌詞、その出来映えの良さには本当に驚いたものだった。

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オリジナル・サウンドトラック『オー・ブラザー!』
公開当時、音楽ファンの間で随分と話題に。T・ボーン・バーネットの名を、この作品で初めて知った。アメリカン・ルーツ・ミュージックの魅力がぎっしりで、聴いても聴いてもまだ聴きたい!装幀もコンセプトがしっかりしており、香しき美品となっている。

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ネーネーズ『夏~うりずん~』
お盆後の夏みたいな、心地良いけだるさが売りのアルバム。「恋のモロカイ物語」の妖艶な色気、「夏との別れ」の儚さ、「ションカネーララバイ」のまろやかさ、超ポップな「UMUTY」など、ソロへの布石も。「かいさーれー」での嘉手苅林晶の唄は陰影深く今も心に響く。

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J・ガイルズ・バンド『デビュー』
黒人ブルーズ特有の野太いリズムはないが、決して痩せた音楽ではない。男たちの沸騰する情熱が、3分そこそこの曲にガッチリ詰め込まれた、黒〜い音楽趣味が全編を埋め尽くす憎めない一枚。ジューク・ジョイントで鍛え上げたと思しきバンド魂が、逞しく響いてくる。


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オーティス・レディング『ザ・ソウル・アルバム』
傑作アルバムの多い人なので、少々認知が地味な印象もあるが、バラードの渋さには、まんまなアルバムタイトルも納得!唄とともにバックの演奏も洗練され、来るべき時代を感じる作品。もし生きていたら、オーティスはサザンロックへ接近していたかも?


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ハート『ドリームボート・アニー』
アルバム随所で瑞々しい感性が光り輝いている、大好きなレコード。後の単調すぎる二面性(ハードロック&アコギバラード)の時期や、80年代半ば以降の大売れ期には、本作での曲のふくらみや繊細さ、イマジネーションの豊かな世界は、見る影もなく失われてしまった。

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オージェイズ『サヴァイヴァル』
絶好調の1975年作は、曲良し唄良し演奏良しの隙なしアルバム。ファンク寄りのフィリー作品というのが一般的な解釈みたいだが、適所に配置された好バラードと、一段とストレートでわかり易い歌詞にも注目すべし。ジャケットは…ちょいと遠慮させていただきやす!

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喜納昌永『沖縄民謡カチャーシー特集』
全身にビンビン響く強力アルバム。「アッチャメー小」の転がるような超早弾き三線の音色、打ち込みを軽く凌駕する「ハリクヤマク」のパーカッション、張りと艶に満ちた唄、全て鳥肌もの。大衆向け音楽であるが、決してながら聴きを許すような音楽ではないと思う。

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タワー・オブ・パワー『ヒッパー・ザン・ヒップ』
74年のスタジオライブ。16ビートのオークランドファンクでブリブリ云わせていた全盛期のタワー、悪いはずがない。選曲も9割は納得。もちろん演者は素晴らしいのだが、音の古さ加減が泣ける。あくまで素材重視の姿勢に、テクノロジーの良心的使用を感じた。一聴して、音がくすんでいて、いかにも1974年の空気が充満してるのだ。無理に音圧を上げず、音自体を過剰に磨いていないので、バンド全体のサウンドが塊になっていて、古い音源を古いまま聴いているような心境になれる。出力時のバランスがよいのだろう。確かな計算に基づいて制作されていると思う。you tubeなどでタワーのライブを聴くと、演奏のキレの良さが不安定な聴こえ方に変換されていたりするのが不満だったが、この音源では変な具合に音がチョロチョロ振動していないことで、スタジオ録音に近いボトムの安定が確保されていると思う。本当ならロッコ・プレスティーア(通称ロッコ)のベースやレーニー・ピケット(通称L.P.)の超高音サックスには、もっと手を入れたいところだろうが、「よくぞここで留まってくれた!」と感謝したいぐらいの古き良き香りを残してくれている。

時期的にはタワー史上最高のメンバーが顔を揃えていて、当時の新譜『バック・トゥ・オークランド』のレコーディングのノリがまともに演奏に反映されている。端的に言うと、『バック〜』の6曲にはアドリブが滅法少ないが、その分スコアに忠実なスタイルで再現されていて、レコーディング時にタワーがいかにライブ演奏を考慮してアレンジしているかがよくわかるようになっている。メンバーとしては、この後すぐに抜けることになる二人、デヴィッド・ガリヴァルディ(通称ガリ)の両手両足バラバラのドラムミングと、ブレント・バイアーズ(通称…なし)のコンガの絡みがなんとも懐かしい。ロッコもまだクスリには手を出していない時期だし、おそらく十代で車の免許を持っていなかったL.P.の一拍吹きの妙技も熱くなる。

ディスク:1
2. Oakland Stroke
〜スタジオ盤ではイントロとアウトロに別れていたため、当時このナンバーを一気聴き出来たのはライブだけだった。いきなりスタジオ録音と寸分違わぬ、もの凄い超絶リズムで卒倒する。
3. Squib Cakes
〜スタ録よりわずかにリズムを落としている。かまやつひろしの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」のバック演奏の元メロであり、RCサクセッションの「ベイビー、にげるんだ!」のサックス・リフはここから拝借したものと思われる。(そのサックス奏者ドクトル梅津の芸名は、タワーのバリトン・サックス担当のスティーヴ・クプカの通称であるドクから。)
4. This Time It’s Real
〜これも新譜から。鮮やかシャッフルは60年代のモータウン仕様。何を隠そう、タワーになる以前のバンド名はモータウンズだった。
6. You’re Still a Young Man
〜これだけコーラスのできるホーンバンドはまずないだろう。曲の良さも最高だが、秀逸なイントロのアイデアはインプレッションズのアルバム『ディス・イズ・マイ・カントリー』のなかの「マイ・ウーマンズ・ラヴ」から拝借。
8. So Very Hard to Go
〜タワー最大のヒット曲。レニー・ウィリアムス(通称…不明)はやはりバラード・シンガーだと思わされる一曲である。如何せんストリングス抜きだと、曲の艶・流麗さが4割引きか。

ディスク:2
2. Time Will Tell
3. Man from the Past
〜この二曲も新譜から。しかもアナログのスタジオ盤のサイドB一曲目〜二曲目という流れをライブで演っている。曲間のわずかなブレイクに鳥肌が立った。「Man from the Past」は、当時隆盛を誇ったハイ・リズムからの影響が感じられる。
4. Down to the Nightclub
〜イントロは誰にも真似できない悶絶リズム。どうなっているのか、何百回聴いてもわからない。出だしのツインヴォーカルはレニーとサックスのエミリオ・カスティーオ(通称ミミ)。
5. Just When We Start Makin’ It
〜この曲もレニー向きのスウィート・ソウル・バラード。ちなみに私の中では、レニーはヴォーカリストとしては、リック・スティーヴンス、ヒューバート・タブスに次いで3番目か。どうせ新譜をやるなら、無理を承知で「Blow Us All The City Light」を持ってきてほしかった。それと注文ついでにいうと、当時の最新シングル「Don't Change Horses In The Middle Of The Stream」が何故入っていないのかが謎である。この頃から既に商売が下手だったと思わされる。
6. Knock Yourself Out
〜ライブの定番。1976年の『 Live and in Living Color』でもアナログB面全部を使って20分以上の熱演が記録されている。途中のコーラスでの掛け合いには、タワーの深い音楽素養がよく表れていると思う。チェスター・トンプソン(通称C.T.)のぶっ飛んだオルガンには、今も仰け反る。プログレバンドのメンバーか、おまえは!
7. What Is Hip
〜名刺代わりの一曲。これをアンコールに、というのだから、オーディエンスにはたまらない。なのになんでお客がこんなに静かなのだ?それがスタジオライブというものなんだろう。その場にいなくてよかったな(笑)。もしいたら、一人で馬鹿騒ぎしてつまみ出されていただろう!

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オリジナル・サウンドトラック『フォレスト・ガンプ』
映画の中では、曲が時代の進行に合わせて、ブツ切りでどんどん流され、あまり感心できなかった。サントラとしても、筋が通った印象は無く、やはり時系列の寄せ集めヒット曲集に近い。そんな中で、ヤングブラッズの「レッツ・ゲット・トゥゲザー」収録が嬉しい。この曲の作者チェット・パワーズが、クイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスの要人ディノ・ヴァレンティノと同一人物であることを最近知って、少し驚いた次第。開放感がある曲を書かせたら、本当に上手い人だ。たぶん、一服やってたクチだろうね(笑)。

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カーティス・メイフィールド『カーティス』
今週のヘヴィ・ローテーション・アルバム。昔は過激だと思ったが(特に歌詞)、今は「言うことはしっかり言う」態度に共感する。煽りではない、語りに持ち味がある唄が今日も耳に沁みた。有名曲も多いが、ラストの「ギヴ・イット・アップ 」が一番好きだな。

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カーティス・メイフィールド『バック・トゥ・ザ・ワールド』
まだまだ続くカーティス・ヘヴィ・ローテーションだが、発売元にちょいと文句を言わせてもらう。LPとCDとで曲順が違う。たぶんLPジャケットに誤って表示された曲順をそのままCD化したのだと思うが、それが大きな間違いだ。今すぐアナログの曲順に戻せ!こんな大事なことをなんで確認もせず無視をして勝手に商品に仕立てて発売するんだ?神経を疑う。カーティス全盛期の大傑作アルバムなんだぞ!無責任極まりない。大人のする仕事ではない。責任者っ、出てこいっ!!!

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安食高志『車窓のパイナップル』
謙虚なストーリーの短編映画を見終えたような印象が立ちのぼってくる。変拍子を叩き出す手数の多いドラムとベースは時間の疾走を、リリカルなピアノと繊細なギターは都会での生活の迷いや憂いを感じさせる。感傷的であるが、同時によくコントロールされたアルバム。

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キンクス『マスウェル・ヒルビリーズ』
昔輸入盤で初めて本作を手にして、辞書を片手に一曲一曲を繰り返し聴いた。今また同じことをやりたくなってきた。今更、などとシラケてはいけない。どの曲も気になるフレーズ満載で、今の自分が声を大にして言いたいことばかり。社会生活のストレスや不安がこれほど身近に感じられる作品はそうはない。40数年前のレイ・デイヴィス大先生のボヤキ大会に共感同調してこそ、君も21世紀の精神正常者だ!
























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by ekakimushi | 2014-08-11 13:01 | 音楽えかきむし | Trackback | Comments(0)
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