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791 <コンビ>*

もう5年も前の話しです。俳優の藤田まことさんが亡くなったとき、その訃報を聞いて私がすぐに思い出したのは、幼い頃に見たテレビのコメディ番組『てなもんや三度笠』でした。あの番組は異常におもしろかった。わんぱく盛りだった私にとって、底なしに笑えるコメディで、白黒テレビの時代を代表する娯楽だったと思います。財津一郎や伴淳三郎、原哲男といった怪物クラスの喜劇役者が出演していたにもかかわらず、私の中では、藤田まこと&白木みのるによる、あんかけの時次郎と珍念のデコボココンビこそが『てなもんや〜』の全てでした。


コンビで力を発揮するということは、一種の化学反応のようなものかもしれません。喜劇であれ、日々の仕事であれ、家庭生活であれ、コンビを組む相棒がいるということは、とてもしあわせなことだと思います。誰か定番の相手と、面を付き合わせて絵を描いたり絵本を作ったりすることがない私は、たまには相棒が欲しいなあと感じることがあります。依存?刺激?緩い関係?私は何を求めているのだろうか。しかしこればっかりは、どう望んだところで、相手との出逢いと相性が全てですしねぇ…。


私は絵はひとりで描くものと思い込んでいるので、他の誰かと恒久的に共同作業をしたところで、実際には無理が生ずるに決まっていると考えます。一人芸の面白い役者さんがコンビで更に面白くなるのとは、どうも勝手が違うのですね。他人が割って入れない磁場になっているのか、極めてパーソナルな時空間なのですね…絵を描くことって。私のコンビ願望はひとり作業からの逃避を意味しているようで、実はひとりで過ごす時間の甘えどころを絶対手放したくない気持ちの裏返しかもしれません。そうか、絵を描くことで私は自分の我が儘を許容しているのか!

(*日記No.0120 2010年2月28掲載のリメイクです。)

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by ekakimushi | 2015-03-04 13:28 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)