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918 <非凡様>

ギャラリー巡りをしていて、ときどき「非凡だなあ」と思う展示や作品に出会うことがある。「傑作だなあ」とか「才能があるなあ」と感じる機会よりも、「非凡だなあ」の方が出会う数は少ない。私自身の感じる深さなら、断然「非凡」の方が後に残る。非凡とは何なんだろう。平凡ではない様には違いない。しかし平凡の少し上、そんな程度ではない気がする。

ものづくりにおいて、平凡というラインに属する私から見て、非凡様とは傑作や才能への憧れにまみれていない人のことだ。傑作とか才能とかいう類いの付属性は、平凡者から見るに、たいがい手に入れようとして幻や煙だけで終わってしまうものだ。ところが非凡様のスタート地点は、すでに傑作も才能も越えたところにある。背中さえ拝ませてもらえない実感がある。

そもそも持っているものや着眼点に大きな隔たりがある。しかも探究心好奇心もずば抜けている。こういう人を生で見ると、もう羨ましいとか腹が立つなどの感情を通り越して、どんな人なんだろうか、話しをしてみたい、できれば握手をしてほしい、といった芸能人の追っかけのような心境になってしまう。作品が非凡様への憧れを募るわけである。

そういう作家を世間の大多数の人が、まだまだ知らないときている。知った私の心の中に、どっかと居座る非凡様のことを。「それはおかしい」と私は思いながらも、できればずっと知られないままでいてほしいなどと、私は願っている。我が儘なのは百も承知、非凡様をますます好きになってゆく平凡野郎の気持ちなんて、誰が知ったことか。

作品で非凡さをビシビシ伝えてくれるあなたが、私は大好きなんだ。どうか消えたりしないでおくれ。

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by ekakimushi | 2016-07-03 19:22 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)