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5月は何人もの初めての人と出会いました。会うだろうなと思って会った人もいれば、思わぬ機会であった人もいて、全く明日の予想は誰にもわかりませんね。その意味では、5月という明日は、なかなかイカしていました。振り回された感も大いにありますが(笑)、そこはものの捉えようで、振り回され上手ということにしておきましょう。不思議なのは、そういう出会いに関するつぶやきが、私には全くないことです。どうして書かないんだろうか。たぶん、相手がいることだし、面白がっている自分の心の内を悟られないようにしているのかな。何かもったいないな。結構面白いのに。

今月のf.b.版つぶやきです。


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【5月1日】

私の出身高校は進学校でもなければ、スポーツが強いわけでもなかった。不良とか、ちょっとおかしなのもいたが(あ、私か…笑)、どれもこれもさほど目立たず凡庸色に染上げられていた。その街に生まれて育った子どもらほぼみんなが通う学校で、私のときの入試の競争率は1倍をほんの少し越えた程度だったと記憶する。いわゆる典型的な地元の学区制公立高校だった。

数年前に同級生から母校が進学校に姿を変え、越境入学する学生が多いと聞いた。様々な制度が変わって公立高校といえど、競争の渦に巻き込まれ、上手い具合に時流に乗って学校が変身したのだという。

本当に?そんなことをいわれても、全然ピンとこない。私が通っていたのはそんな学校じゃなかった。亡くなった担任の先生も言っていた。「こんな田舎の、平々凡々高校で、何が学べる?もっと外へ出て行って勉強しろ。とか言っても、お前らじゃ駄目だろうけど。」


【5月8日】

連休が終われば、半年先まで続く長~く暑~い夏がそろ~りとやってくる。そんなわけで、本日G.W.最終日はあわてて夏支度などを。布団も衣類も取り替えた、網戸は洗った、ゴーヤも植えた。これでクーラーを掃除して扇風機を出したら、もういつ夏に来てもらってもよぉござんすよ。でもね、こんな風に準備を整えたときに限っていきなり寒くなったりするから、気候や天候はなかなかの意地悪だ。今年の5月は大丈夫かな。



【5月10日】

朝刊を広げたら、まず国際面から読み始めるのが日課だ。寝ぼけてぼんやりした頭が目覚めるには、それなりの刺激が必要だ。その種のネタに全く困らないのが国際面の強みだろう。

フランスや韓国の白熱していそうでどこか醒めて見えた大統領選、ツイート政治に没頭する米国のがさつな男、中国共産党と国民との、締め付けvs抜け穴作戦のイタチごっこ、蔑ろにされ出した北朝鮮のミサイル発射外交、そして自分の言葉で何一つもの言えぬ総理大臣。

国際政治はダイナミックに映る。反対に国内政治は地味に見えることもある。新聞紙面では、この政治の二面性がとてもよく表れていると思う。


【5月16日】

相手さんとの打ち合わせの予定が、どういうわけかうまく折り合わない。何度かやりとりをして双方が幾つか譲歩して、どうにか着地しそうな気配。こういうのはやいやい言わずとも、簡単にスポンと決まることがほとんどなのだが、今回はどうやらスポンではないようだ。

併行して流れる二本の川があって、私と相手さんはお互いの姿が目視できる状況で、それぞれ別の川をカヌーで下っているのだろう。同じ川を下っているなら、接近することも可能だが、如何せん違う川だったのだ。近づいた気になっても、場の流れが別物だからそう簡単にはいかなかったのだろう。そういうことにしておこうぜ。


【5月19日】

これは特にツイッターで感じることだが、フォローをしている人の中には、実際に面識があって人柄や考え方などを知っている相手がいる。その人のツイート内容と現実の人格とが、どうしても相容れないことがたまにある。この人がこんなことを書くんだ、などという具合に。

しかしそれは、当人について私の知る、振れ幅の狭い捉えに比べてのことであって、生きているからこそ陥る泥沼や深い闇の底までを網羅するつぶやきには到底及ばないものだと感じる。

多面的で矛盾に満ちた世界。私が常日頃お付き合いしている人とは、そういう居場所に生息する生き物だ。

そして今日も、晴れた空の下で、身近で獰猛な一匹に出会ったんだ。


【5月23日】

一昨日大阪は鶴橋で宴会でした。久々の韓国料理は美味しかったです。チャプチェがなかなかのものだったな。盛り上がる座の勢いままに調子に乗ってキムチやチャンジャをガンガン食べたので、予想通り昨日は腹具合が柔らかかったのです。相変わらずトウガラシに弱い腸だなあ。

なのにです、昨日家で晩ご飯にチヂミを食べました。結構辛い唐辛子味噌をたっぷりつけて。

気がついたら今日は朝からトイレばっかり行っている…

すまねぇなあ、肛門さんには迷惑ばっかりかけちまってよぉ。


【5月25日】

今日の夕刻、思い立って晩ご飯にキーマカレーを作ってみた、のはいいのですが、なんと言うか、どうも失敗したような予感が(笑)。具材の量を適当に放り込んでいたら、ルックス最低の一品になってしまいました。う〜ん、見た目がカレーというよりは、カレー味のミンチ&野菜の煮込み料理のような…おかしいなあ。ひと月前に作ったときはあっさり簡単にできたのに。もしかしたら料理でなくアートに走ってしまったか?

また悪いクセが出てしもた💦


【5月28日】

ちょこっとした展示のお知らせを。

6月1日(木)〜17日(土)の期間、JR東岸和田駅から徒歩3分の居酒屋Kitchen BAYキッチンベイで、「中川洋典小品展」を開催します。岸和田近辺にお住まいの方、是非お寄りください(お料理屋さんなので注文をお願いします。)詳しくはh.p.を見て下さい。→http://www.kitchen-bay.com/

店主のTさんは、以前からの知り合いで、お仕事で大変お世話になった方です。もっと言うと、私を絵本に世界に引きづり込んだ人です。お店が開店2周年を迎えるということで、賑わし要員として展示をさせていただくことになりました。私は食べ物屋さんで展示をしたことがないので、どんな風になるのか予想もつきませんが、私がTさんと一緒にお仕事をさせてもらった15年間は、ほとんどいつもそんな感じでしたから(笑)、全く心配しておりません。乞うご期待を!    

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小さな展示のお知らせです。

6月1日(木)〜17日(土)の期間、JR東岸和田駅から徒歩3分の居酒屋Kitchen BAYキッチンベイで、「中川洋典小品展」を開催します。岸和田近辺にお住まいの方、と言わず、ちょっと見てみたいなと思われた方は、是非足をお運び下さいませ。(お料理屋さんなので、注文をお願いします。)基本的には日・月はお休みなので、営業日等詳しくはお店のh.p.を見て下さい。→http://www.kitchen-bay.com/

店主のTさんは、以前からの知り合いで、お仕事で大変お世話になった方です。具体的に言うと、私を絵本業界に引きづり込んだ人です。2年数ヶ月前に児童書の世界から身を引き、洋風居酒屋店の経営に華麗なる転身をされました。今回はそのお店Kitchen BAYキッチンベイが開店2周年を迎えるということで、賑わせ要員として展示をさせていただくことになり、今日搬入をしてきました。私は食べ物屋さんで展示をしたことがないので、どんな風になるだろうかと思っていましたが、案外いつも通りでした(笑)。

展示期間中はお店のイベントもあるそうです。大阪府南部では作品を見ていただく機会がなかなかないので、どうぞこの機会をお見逃しなく!!    

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この人がお店でお迎えしてくれますよ!


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こんな感じでゴチャゴチャと(笑)。






















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『サムシング・エルス・バイ・キンクス』が名盤紹介本に取り上げられているのを、私はたぶん見たことがないと思う。パイ時代なら次作『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』か、その次の『アーサー、もしくは大英帝国の衰退ならびに滅亡』が、RCA時代なら『マスウェル・ヒルビリーズ』が、アリスタ時代なら『ステイト・オブ・コンフュージョン』が、ロンドン時代なら『UKジャイヴ』が傑作として挙げられることが多いキンクス。『サムシング~』はあくまでも、私的名盤止まりなのか?そうは思わないのですが。


『サムシング~』は今から50年前の1967年発表です。ビートルズの『サージェント・ペパーズ~』が発売になったり、ドアーズやヴァニラ・ファッジがデビューした年で、誰もが一服やって、金門橋へサイケなトリップを試みていた時代です。キンクスのリーダー、レイ・デイヴィスがおもしろいのは、流行りでそれがヒップなことであっても、その気がなければ全く無視して世間様と同調するそぶりも見せないところです。しかし、彼によくよくつきあってみると、しっかり浮き世を見てアンテナを立てている、情報通の文句言いに違いないのです。だからおもしろいのです。


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出だしは「デイヴィッド・ワッツ」。ジャムのカヴァーばかりが有名ですが、汗をかかないどこか冷ややかなビートナンバー。デイヴィッド・ワッツというのは、おそらくいいい家柄の子なのでしょう。<ファファファファーファ>というコーラスは、レイのデイヴィッド・ワッツに対する憧れをため息で表現しているのだと思う。イギリスでヒットした「デス・オブ・ア・クラウン」はデイヴ・デイヴィスがリードヴォーカル。夢見心地感いっぱいの曲で、フラワー・ムーヴィメントのテイストを意識したのでは。「トゥ・シスター」もメランコリックなメロディで、終わり際のキャズーの音色に流行への色気を感じる私です。


「ノー・リターン」はボサノバ。アントニオ・カルロス・ジョビンというより、ピエール・バルー風。もしかしたら、前年大ヒットした映画『男と女』のサントラからヒントを得たか?どこかコミカルで東欧香に満ちたメロディの『ハリー・ラグ』は、デキシーランド調をレイ・デイヴィスの裏必殺技ツー・ビートに置き換えたような作品。続く「ティン・ソルジャー」って、スモール・フェイセスにも同名異曲がなかったっけ?ブラスをヴォーカルに裏合わせしてビートを強調しています。


旧A面ラストの「シテゥエイション・ヴェイカント」は前作『フェイス・トゥ・フェイス』の残りものではないかと推測。景気の悪い歌詞に最高の毒が盛られていて、個人的に滅茶苦茶好きな一曲です。根拠はないのですが、1961年にアメリカで大ヒットした「マザー・イン・ロウ」の猛毒歌詞にヒントを得たのではないでしょうか。かように遊ばせてくれるこのアルバムを、私は心底愛しています。何度引っ越しをしても必ず連れて暮らしています。理由はただひとつ、この塩ビニの溝には、私を安らかにさせてくれる慰めが記されているからです。


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『サムシング・エルス・バイ・キンクス』を何回か聴いてみて、いつも音の良さに感心しています。私が持っているのはアメリカ盤(リプリーズ)のアナログレコードですが、奥行きのある時代モンのエコーが適度に効いていて、和む和む。CDでは楽器間にスカスカの隙間あったり、重低音や高音に無神経な強調があったりで、少々攻撃的過ぎるのでは?と思うこともあります。『サムシング~』がお気に入りの理由のひとつに、持っているレコードの音質も関与しているのは間違いないところです。

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B面はデイヴ・デイヴィスの「ラヴ・ミー・ティル・ザ・サン・シャインズ」でスタート。同面には4曲目にもデイヴの「ファニー・フェイス」が収録されています。「デス・オブ・ア・クラウン」が全英3位のヒットになったのを機会に、当時デイヴには独立~ソロの話がマネージャー先行で持ち上がっていたそうです。結局計画は頓挫し、ソロアルバム収録予定だったこの3曲が『サムシング~』収めとなったわけです。後に発売された幻のソロアルバムのタイトルは『ジ・アルバム・ザット・ネヴァー・ウォズ(アルバムにならなかったアルバム!)』キツいシャレです(笑)。


アルバム中最大の問題昨は「レイジー・オールド・サン」。もろにシド・バレット在籍時のピンク・フロイド!発売時期も近く、どちらが先かは定かではないものの、わずか3分程度の中で曲の展開が恐ろしくプログレッシヴです。レイ・デイヴィスの才気が漲った一品だと思います。かと思えば次に出て来るのが「アフタヌーン・ティー」。純正英国調ほのぼの趣味満開でガクッときます(笑)。デイヴの「ファニー・フェイス」の後にはこれまた微妙な「エンド・オブ・ザ・シーズン」。フランク・シナトラやアンディ・ウィリアムスら、当時の売れっ子クルーナー歌手を意識したか。鼻声歌手のレイにしてみたら、ヴォーカル・スタイルを真似易い人達なわけですな。


しかし「エンド~」の曲自体はちょいサイケ風で、小鳥の鳴き声がコラージュされていて、SE好きの趣味も前作『フェイス・トゥ・フェイス』ほど直接的でないのがグッドです。そしてアルバムラストは、今もキンクスの名曲中の名曲と誉れも高い「ウォータール・サンセット」。当時流行のご当地ソングですが、さすが偏屈者のレイ・デイヴィスらしく、テムズ河沿いの病院に入院した時に見た景色の美しさを唄っています。私のローカル体験ですが、夕暮れ時の阪神電車で淀川を渡るタイミングにこの曲を聴くと最高です。是非一度試して下さい(笑)。


『サムシング・エルス・バイ・キンクス』がここまで心に残るのは、もちろん曲が素晴らしいのですが、カウンター・メロディーを奏でるコーラスハーモニーの美しさが尋常ではないです。本当なら弦楽器で装飾するところを全部ハモッている。たぶん弱小パイレコードには、豪勢なストリングスを付けるほどの潤沢な資金が無かったこともあるでしょうが、レイ・デイヴィスなりの多重録音によるコーラスワークを試みている気がしてなりません。音の奥行きや複雑なコーラス、アルバム全体のインドアでダウナーな印象など、当時のビーチボーイズと同種の鬱状態が感じられてなりません。名盤本には決して載らない名盤、それがこのアルバムに相応しい冠なのでしょう。





















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街中で根無し草のようなインバウンドの旅人に時々出会う。すれ違った後、必ず振り返ってしまう。旅をする人はかっこいいなと思う。団体さんとかお買い物ツアー客はそうは思わないが、わけあって旅に出ましたと背中のリュックが物語っているような人は、後ろ姿だけで痺れてしまう。同じ旅人でも匂わせるものは確実に違う。似たようなことが、旅をしているわけではないのに、旅を感じさせる人にも当てはまると思う。


いるのです、そういう人が。ずっと前から近くにいるのに、たぶんそのうち、ふらっとどこかへ消えていなくなるんだろうなと思える人。実際に旅をしていなくても、日頃から居場所を捜してトリップしているような人。どこへも行かず動かず、居場所の変化さえ好まない人(私だ!)とは明らかに違う、放浪者のような意識を醸し出す人。そんな類いの人もまた旅人だ。あてのない人生を旅するように生きている。


旅人はかっこいい。私も風来坊のような旅に出たい。
けど日帰りしてしまうだろうから、それではかっこわるいよな。

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人待ち、便り待ち、電話待ち、メール待ち、アイデア待ち、考えてみたら待つことが私の毎日ですというくらい、待つ機会ってよくあるものですね。待つことは時間がかかります。今の生活から待ち時間を消し去ったら、どうなるんだろう。待っている間、気にしながらも別なことをしようとして、知らず知らずに消耗します。待つことはストレスなんだろうか。待つことで失われるものがあるのだったら、待つことは無駄なのだろうか。何かがやってくるのを待つ。ただ待つ。他には何もしない。それはやってはいけないことかな。


「雨降りシトシト」

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「キラ星の群れ」

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「ビルビルビル」

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「彫る景色」

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「呑み仲間」

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「The Year Of The Snake」

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「きみは現地の人になった」

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「増殖工場」

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「防空壕からずっと」

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「ナマコは海の底で光っていた」

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「温かい雨」

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「入り江」

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「俺は好きな赤(後編)」 

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「タジさんのランチョンマット1」

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「噛みつく理由」
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先週初対面の方から趣味は何ですかと聞かれ、ひと呼吸置いて「読書です」と答えた私。先月このブログで読書に帰りたい心境を書いたからではないのですが、このところ一日の中で密度と純度が最も高い時間は読書をしているときだと感じます。集中力も想像力もなかなかのものだと思います。先月は大好きなサマセット・モームの短編集や、懐かしや松本清張・水上勉の作品に浸りましたよ。読んでいる最中に場面の絵が鮮明に浮かんでくると、私は物語の中に入っている状態で、それは小説を最高に楽しんでいる証だと思います。あ、本当はそれが絵を描いているときだといいのですが、現実にはそうもいかなくて(笑)。


文字を追いかけているときに、頭の中で様々な場面の映像が流れてくるのは、いったいどういうわけなんだろう。文字は形はあっても画としては弱い。文字が集まって表現された状況が、読者のなかに映像を呼び起こすのはわかるのですが、誰もどこにもそんなことをしろと書いていないのに、何も言われなくても自然と想像して住み込んでしまうのは、文字と脳の間に何か決まりきった関係性があるからなのでしょうね。落語や音楽、匂いや気配にも当てはまると思います。


与えられた触媒を元手にして、いい大人が自由気ままに空想する様はどこか危なっかしいです。一服やっていると思われたりして!読書体験が生む空想は、生々しい人物像や果てのない舞台美術となって、手のひらの上から外界へ大股で飛び出してゆき…これを娯楽と呼ばずして何と名付けられましょう。冒頭の、私に質問を投げかけた初対面の方と、「読書です」と答えた瞬間に目が合ったのです。この人、きっと読書が大好きなのだと直感しました。まるで遊びに誘う子どもの眼差しを感じましたから。あの人が本を読んでいるときの眼差しはどんなだろう?イマジネーションに後押しされる瞳には、どんな世界が映っているのだろう。    

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NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』を見ています。1960年代の東京を舞台に、集団就職で上京した“金の卵” ヒロイン・谷田部みね子の成長物語です。とあるコラムに泣き所満載のドラマと書いてありましたが、この二日は評価通り泣きました(笑)。「どこに泣くところなんかあるんだ?」と思う人もいるでしょう。私にとってのキーワードは<社員寮>です。


高度経済成長期の活力ある市井の人々を核に据え、健気な生活を追うドラマは平成の世に受け入れられやすいのか、連ドラでも映画でもよく引っかかるネタです。『ひよっこ』はまさにそのもの。懐かしさ一杯に見ている人もいるでしょうが、私がターン・オンしたのは親元を離れて就職に出て社員寮に入るという設定です。


時代は違えど、私も大学を出て就職したときの住まいは会社の寮でした。入った当時は70人ぐらいいたと思う。5年までは在寮できたのですが、なぜか6年目を過ぎた人もいました。右も左もわからず世慣れしていない男は、職場でも寮でも戸惑ってばかりでした。テレビの中のみね子の波打つ心情は、まるで昨日の自分のようです。


会社の上司は「寮住まいは半人前」だとか「出稼ぎ労働者の格安ドヤ」だとかもう言いたい放題でしたが(笑)、実際のところ寮生活は楽しかったのです。会社で嫌なことあっても、毎日同じような環境の仲間と話せることで、随分救われたものです。休みの日も一緒に出かけたりして、ほとんどドラマと同じようなものでした。


若い人が親元から職場に通うのと、寮生活を送るのとでは、過ごした時間の根っこに残るものが多少違うと思う。私が過ごした5年間の寮生活が、そのまま自宅での生活に入れ替わっていたら、『ひよっこ』を見ていて、今こんなに胸がいっぱいになりはしないでしょう。寮での毎日には、喜怒哀楽や感情の起伏が目一杯詰まっていましたから。


そういえば去年の個展に、当時の同期入社した友人が来てくれました。彼も寮の仲間で、今や勤続三十数年のベテラン社員になっていました。もう数年経てば定年なんですね。びっくりしてしまいます。なんでもこの春に同期の出世頭が、遂に会社役員になったそうです。話しを聞いて懐かしいのを通り越して、ちょっとしたSF映画のストーリーを追いかけているような気持ちでしたよ。


『ひよっこ』のみね子が寮を出るとき、彼女はどんな気持ちでいるのか、今から楽しみです。そのとき、私はきっと自分が寮を出たときの春の情景を想い出すんだろうな。   

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G.W.の間はいつものようにネットと接触していなくて、当ブログも一昨日まではお休みのようなものでした。常々思うのですが、更新されていないブログというのは、人の住んでいない蜘蛛の巣が張った家みたいな気がします。バーチャルな世界であるにもかかわらず、定期的に更新されていないと人や生活の気配が消えてしまうものなのですね。不思議だ。


現実の家は人が住まないと傷みが早いといいますが、案外ブログやHPも同じようなことが感じられるのではないでしょうか。ネットをウロウロしていると、時々、誰も書かなくなった難破船のようなブログに出会うことがあります。画面がどこか埃っぽく、息の出入りや体温が失せている。場に生気が感じられないのです。


私は日記を更新することで自分の血や汗の入れ替えをしていたい。日光や雨風を受けていたい。今回のような5年も昔の日記のリメイクであったとしても、です。閉め切った押し入れや、日の差し込まないジメリした畳のようなブログは勘弁願いたいです。たぶんその欲求こそが、私の気分転換の本質だと考えます。やっぱり家には住む人がいないと。ああ、そうか、ここは我が家だったんだ!


(*日記No.477 2012年4月11日掲載のリメイクです。)  


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報告が遅くなりました。

4月21日(金)から始まっていた雑貨店おやつさんでの展示が、先日5月3日をもって無事終了しました。お越しいただいたみなさん、どうもありがとうございました。なお「読んで作って遊ぶ 本と紙」は5月5日(金)より後半に入っており、イラストレーターの石田敦子さんの展示が5月17日(水)まで続きますので、是非足を運んでいただけるとうれしいです。(5月11日はお休みです。)


店主トノイケミキさんとは20年ほど前からの知り合いで、今回初めて展示やトークイベントという形で御一緒させてもらいました。搬入搬出の折には、久しぶりにいろいろお喋りができて楽しかったです。彼女の新しい本『雑貨店おやつへようこそ』は、この10年ほどの間にどんなことに心砕いてお店を立ち上げてきたのかが、克明に記されています。成長すること、学ぶことが本当に好きな人です。読んでいて感心しました。みなさんも是非読んでみて下さいね。


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『雑貨店おやつへようこそ』¥1,400+税
著・トノイケ ミキ
西日本出版社





















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