先日の日曜日に沖縄は久米島で開催された久米島マラソン大会に出場してきました。今年で4回目。一昨年が台風で中止だったので、走るのは今度が3回目です。今まで10km、ハーフと距離を伸ばしてきて、今回は念願だった初のフルマラソンでした。結果は4時間34分28秒の完走!順位的にはちょうど真ん中くらいでした。ちょうど3年前にこの大会の10kmレースに出たときから、50歳になったらフルマラソンに出たい、そこで完走したいとずっと願っていました。
昨年の久米島マラソン大会は灼熱のレースコンディションでした。ハーフマラソンに出たものの、残り7kmぐらいはフラフラ。同じ条件だったら今年の完走は難しかったかもしれません。幸い今回は気温が27℃だったものの、北風がよく吹いてくれて暑さとは無縁でしたし、日射しもきつくなく、体調面でも大きな問題もなく、予想できる最高の条件でレースを迎えることができました。
私は今まで31kmが最も長く走った距離だったので、とにかく距離に対する警戒心が強く、かなりペースを自制して入りました。スタートから3kmを20分かけて通過。これだと4時間40分ぐらいで戻って来れる算段です。いつもは気が急いてスタートから飛ばしてしまう私も、今回は初のフルマラソン参加ということで珍しく冷静でした。結果的にはそれが一番重要なポイントだったと思う。
久米島マラソンのフルマラソンのコースは高低差が少なく、オーシャン・ビュー・ポイントも多い、実にナイスな設定がされています。おかげで最初の15kmはあっという間でした。ペース配分が楽だったことや、沿道の飲料水や食べ物(バナナやマンゴー)をしっかりといただいたこともあって、理想的な調子で20kmあたりまで進みました。
20km〜28kmは海岸線をひたすら走る絶景コース。これが長い!沿岸部をゆけどもゆけども絶景が続くのです。そして練習は嘘をつかないもので、28kmを過ぎて30kmに達したあたりから徐々に両足の筋肉に疲労が溜まってきました。現段階で私が自分の体をコントロールできるのはやはりこのあたりまでなのでしょう。
30kmからも3km一区切りを繰り返すことで、ひたすら前進あるのみ。レモンの飴を口にしたり、水を浸したスポンジを背中に入れたり、ビニールに入った氷を帽子の中に入れたり。ありとあらゆる刺激をもらって37kmあたりまできました。ここからは少しの上り坂でも負荷が高く、行きは軽かった下りが帰りは厳しい上りとなって待っていました。
それでも不思議と歩こうとは思いませんでした。最初にペース配分をしたときから、42,195kmをすべて走りきることが大前提になっていたのでしょう。辛そうに歩く人を追い越して追い越して41kmまで来たとき、残り1kmちょっとと体力とを計算してペースを大幅にアップして走ることにしました。これってきっと村上春樹の影響だろうな(笑)。
走る走る。足は痛いし、腕はだるい、それでも走る。息が苦しい、関節は悲鳴を上げている、しかし3年かかってようやくここまできたんだから、この場に及んで自分に要らぬ手加減だけはするまいと残り100mは全力疾走。そして青空の下、遂にゴール!止まった瞬間に合わせるように涙が出てきました。感無量でした。誰に頼まれたわけでも約束したわけでも結託したわけでもない、自分の体の願い事を叶えてみたいだけの動機で始まったフルマラソンは、完走という幸福な結末で幕を閉じました。
ゴールした後、私に完走メダルをかけてくれた高校生たちと目が合いました。50歳の私。疲労困憊の私。42,195kmを旅してきた私。3年間同じことを願っていた私。彼らの目に私はどんなふうに映っていたんだろうか。