人気ブログランキング |
ある社会や集団、組織から展望を持って自発的に脱する際に「卒業」という言葉を用いる事があります。「卒業」が意味するところは何なのでしょうか。「ここで学べることはしっかり学んだ」「次のステップへ上がるには環境を変えることが必要だ」「個のベクトルに従って生きると、いつまでも同じ場所にはいられない」等々。私の解釈が的確かどうかは疑わしいのですが、今まで自分が所属したところから出てゆくにあたって、割と未練なく去る印象があります。将来に対する明るい見通しを胸の内に持っているからでしょう。「卒業」の先に待っているのは、全てが船出です。私が文字通り学校から「卒業」したときも、その先にあったのは進学であったり就職であったりしました。後ろを振り返る前に、未来に繋がる予感に惹かれたものです。


「卒業」は聞き様によれば、今までの活動を見限った、過去を上から見下ろしたような傲慢さとして使うこともあります。その根底には、不本意から本意への変身願望があるような気がします。冒険心に満ちた若者は機会を見つけては「卒業」してゆきます。「卒業」を繰り返すことで本当に化けてゆく人もいれば、「仮卒業」を繰り返すだけで本意からどんどん遠ざかってしまう人もいるのでしょう。内なる「卒業」の瞬間がわかるのは唯一本人だけで、実際に決定し自分を先へ押し出すのも、本人にのみ可能です。学校の「卒業」のような形式的規範に則った団体行動ではなく、人生で自己を真っ当に生かしたい願いから生まれた「卒業」が理想だと思います。そのせいでしょうか、人の老いは「卒業」しないことから始まるような気がしてなりません。


(*日記No.727 2014年7月24日掲載のリメイクです。)  


f0201561_21085799.jpeg
一番最近の卒業って、フルマラソンかなぁ。10年やったけど、もう二度と戻るところではない気がする。





















先日のこと。朝ご飯を食べながら朝刊をひろげていたら、第15回大阪こども「本の帯創作コンクール」の全面広告ページがありました。「へぇ〜」と思って見ると『ミカちゃんのひだりて』の書影が出ていたので「えっ?」読んでみると「本の帯創作コンクール」の課題図書に『ミカちゃん〜』が選ばれていた!ありがたいことです。日頃のアンテナが鈍いのか、私、新聞を読むまで全く知りませんでした。


本の帯創作コンクールの名前は知っていましたが、内容についてはまるで、、、というのが本当のところです。今回初めて新聞やサイトで詳しいところを知りました。応募は2部門あり、課題図書部門は低学年(1・2年生)の部、中学年(3・4年生)の部、高学年(5・6年生)の部が対象。自由図書部門は小学生全学年対象とのこと。課題図書はそれぞれの学年に6作づつ計18作品が選定されています。(詳しくは下記サイトをどうぞ。)

http://www.osaka-books.ne.jp/index.php?c=4-5


読書感想文を書くのが嫌いな人も、本の帯を作ることで、感想文とは違ったアプローチをしてくれるのではないか。主催者側のそんな意図も浮かんできそうですが、何にしろ読書推進を目的とされる企画なので、たくさんの応募者があることを願っております。そしてできれば『ミカちゃんのひだりて』を購読していただき、ネタにしてもらえれば言うことなしです(笑)。


今年の初めに当ブログで書いたことなのですが、子どもの本離れを憂う声はずっと以前からありました。帯のコンクールも、そのことに対する行政や、教育関係者・書店業界からのアクションであり、そのことになんら異議はありません。問題は別なところ、つまり子どもたちが実際に目にしている大人にあります。暇さえあればスマートフォンにのめり込んで、読書から遠く離れて行ってしまった人たち。まず「本の帯創作コンクール」に参加すべきなのは、そんな大人たちではないかと思うのですが。


f0201561_14170879.jpg



















昨年の10月にHさんからメールをもらった。パーティのお誘いだった。その文面の最後に、絵の打診が書いてあった。AMI☆TAME15年ぶりのCDのジャケット画を描いてもらいたい、AMI☆TAMEたっての希望だ、と。描く、絶対描く。即決し、即二人に連絡を取った。するとほどなくしてメールでアルバムジャケットのコンセプトとアイデアが送られてきた。いきなり思いっきりの長文で「ココがこうで、こっちはこんな風に」といちいち具体的に(笑)。翌月本人さんたちにあったときに言ったぐらいだ。「そこまで見えてるんやったら、自分らで描きなはれ!」


ニューアルバムはアナログLPダブルジャケット仕様にしたいとのこと。表ジャケット、裏ジャケットは大体の線で把握、問題は見開き面。やたらに人が多い。レコードならわかりまっせ、しかしこれはCDですわ、小さい画面にそんだけ押し込んで、誰が誰かわかるんかいな?しかも会ったことも見たことも無い人仰山いてはるがな。きわめつけは納期までの日取りが結構短い。わちゃ〜、これは厳しい作業になりそうやな…。こういうときの私の勘は、ほぼ外れない。すでに身の危険を感じていた。


それからは連日AMI☆TAMEの二人と、メールと電話でやり取りをした。ジャケットに載せる人物や小物の画像がビシバシ届く。並行して二人はブックレットの文字原稿、歌詞の許諾作業、そして何よりもレコーディングがあり、私の絵と合わせて、12月はCD全部の作業が完全に同時進行して動いていた。難航したのは予想通り見開きの絵。12月の後半、ラフの確認の最中に、絵の中の登場人物が変わり始めた。「手前の人が消えて、その代わりに奥の人が前に出てきて、ええっと、それからいなかった人も加えて…」あんた、それ、言うてることが〇〇出版社と同じやないか!(笑)


12月20日からの一週間は、寝ても覚めても絵描き机の上でAMI☆TAMEと一緒だった。デザインを頼んだNさんに無理を言って年末年始に機動力を発揮してもらい、なんとか年が明けて1月3日に帰省中だったAMI☆TAMEと会って校正作業。これが会っても全然久しぶりという感じがしない。毎日机の上で会ってたわな。CD制作会社さんの理解もあって、16ページのブックレットも、ジャケットの表裏も、見開きの絵もなんとか色校正に間に合った。(CDの盤面印刷だけがカンプ確認。)後はしっかりチェックして、うまく事が運ぶのを見守るばかり。


1月の末にAMI☆TAME BAND来阪。待ちに待ったCDのお披露目である。早く実物を見たい、そう思ってライブの日を指折り楽しみにしていた。ちょうどその週の頭に某小学校へ授業に行った。その二日後から強烈な下痢が!どうも怪しいウィルスを学校で頂戴したようで、肛門さんが全く締まりなく、動けば出る状態が続く。全く止まらない。このままライブへ行ったら、AMI☆TAMEもお客もまみれてしまう。ううっ、この大事な時に!(泪)。かくして精根を尽くしたCDの晴れ姿を見ることもなく、私は寂しく便座の人となっていた。嗚呼、真冬の小学校、恐るべし!


f0201561_14430929.jpeg
f0201561_14433878.jpeg
f0201561_14434993.jpeg
f0201561_14435896.jpeg
ジャケットの原画画像。ハードな作業ほど最中の実感が残らない。この4枚の絵にブックレットのカット、表ジャケットの文字、ドタバタしたことだけが鮮明で、創作のほとんどはぼんやりしている。

添付されている画像の無断転用・使用を禁止いたします。






















例えば誰もが知っているような名曲のカヴァーを聴いたとする。原曲のイメージが強ければ強いほど、カヴァーする側のオリジナルを越えるハードルは高くなる。ライブでお客が揃って唄えるような曲ならなおさらだ。AMI☆TAMEのライブのセットリストはカヴァーが中心で、主に70年代のアメリカンロックやソウルミュージックがよく取り上げられる。それらをどの曲も、完全にAMI☆TAMEの曲にしてしまう。(これができる人は、なかなかいない。オリジナルの影響から抜け出せないのだと思う。)そのことを感じたのは、演奏中に別な絵が見えたからだ。


カヴァー曲においてAMI☆TAMEは歌詞に唄われる内容を咀嚼・消化して、自分たちの脚色で演じ変えている。その結果、メロディもアレンジもテンポもオリジナルと大きく違わないのに、聴いて呼び起こされる映像が全く違ったものになって浮かんで来ることがある。シンガー、ギタリストとしてのスケールや技量はもちろん、二人の表現者として最も素晴らしい点は、自分たちが解釈した素材を唄い演奏することで、私的な情景描写をお客に見せられることだと思う。それが日本詞であっても英詞であっても。


私が絵を描くことが好きで、どちらかと言うと見えやすい人かもしれないから、そのように感じるのだろうか。ただライブのような微妙な感性のやり取りがある場で、AMI☆TAMEは作品が伝わることをかなり重要視しているのは間違いないと思う。演目、流れ、唄の言葉、間合い、トーク等、全てが伝わって彼ら独自の共鳴が生まれる。毎回セットリストを組み直して本番に臨む姿を見ていると、自分が安直なアイデアやお手軽な手癖で絵を描いてはいないか?とを問われているように感じることがある。


唄・演奏はもちろんだが、私はステージマナーが素晴らしいと思う。二人がライブ会場入りをする時から、もう接客は始まっている。お客さんに声をかけ、あちこちでコミュニケーションをとる。ステージに上がると、お客と同じ目線、同等の立ち位置で伝える。そして場を真正面から背負って、最初から最後まで丁寧に演じる。決して逃げない。そこに表現者としての気概を見て取る。AMI☆TAMEと共演する人をたくさん見てきたが、共演者側がその後どんどん上手くなる例がいくつもある。二人の影響力の大きさは、客席のあちこちに感じられるほどだ。


f0201561_14564223.jpg
2014年のツアーチラシ『BACK TO OSAKALAND』の絵。絵もツアータイトルも、TOWER OF POWER 1974年の傑作『BACK TO OAKLAND』のパロディで、個人的にはマイ・フェイバリット・AMI☆TAMEツアーチラシになった。お客さんの評判はも一つだったが(笑)、ずっと温めていたアイデアを描くことができて満足だった。この時は4公演中3つに行って、財布がすっからかんになった。





















今年1月のクィーン以来、ひさしぶりの音楽ネタです。気がつけばもう6月。そこで今回は、今月中旬に関西ツアーを控えているAMI☆TAME(アミタメ)さんにスポットを当てて、三回連続で取り上げてみたいと思います。と、その前にまずはAMI☆TAME『関西ダイナマイトCDツアー2019』ツアー日程の知らせを。日取りと場所をチェックして、是非いらしてくださいませ!

f0201561_19050615.jpg

ーーーーーーーーーーーーーーーーー
6月13日(木)
神戸三宮『からすのはーもにか』
AMI☆TAME
※神戸市中央区山手通2-12-10 マンションリーベ1F
※TEL:078-251-7771
※http://www.karasu-bar.com
■時間:19:00/オープン 1st/19:30〜 2nd/20:30〜
■チャージ:2500円(ドリンク別)

6月14日(金)
■場所:奈良『Jam Stock』
AMI☆TAME
※奈良県大和高田市築山赤坂町210-1 赤坂マンション1F-5
※TEL:0745-52-4626
※近畿日本鉄道大阪線築山駅
※HP:http://www.sapporobeer.jp/gourmet/0000006298/
※facebook:https://www.facebook.com/pages/Bar-jam/364830863626567
■時間:19:00/オープン 19:30/スタート
■チャージ:2500円(+1ドリンクオーダー)

6月15日(土)
■場所:大阪福島『THIRD STONE 福島店』
AMI☆TAME & Funky Papa OAリュウト
※大阪市福島区福島8-8-3ランドマーク福島B1-2
※TEL: 電話設置完了するまで 08032527577までお願いします。
※JR環状線 福島駅 徒歩3分JR東西線 新福島駅 徒歩3分
※http://www.3rd-stone.jp/
■時間:18:00オープン / 18:40スタート
■チャージ:3000円(ドリンク別)

6月16日(日)
■場所:西宮『Flapper House』
AMI☆TAME祭り!出演多数
※兵庫県西宮市馬場町5-5
※TEL:0798-20-1497
※阪神西宮駅えびす口下車 南口から南へ徒歩3分
※http://r.goope.jp/flapper-house
■時間:17:00/オープン 18:00/スタート
■チャージ:2500円(ドリンク別)
ーーーーーーーーーーーーーーーーー


AMI☆TAMEさんは、アミさんとタメさんの夫婦による、シンガー&ギタリストのデュエットコンビです。主に神奈川県や東京都で活動し、合間を縫って北海道から九州までをツアーで回っています。二人ともキャリアは長く、その芸歴をここで書き出すと、あっという間にこの回が終わってしまうので、そのあたりの情報はH.P. (http://amitame.jpmusic.net/index.html)を参照してください。いつかは音楽の連載で取り上げてみたいものだと思ってたAMI☆TAMEさんですが、ツアーはあるわ、ニューアルバムも出たわ、TAMEさん還暦だわ、これだけ重なる今が一番ふさわしい時期なのではないでしょうか。それでは <絵に描いたAMI☆TAME>第一回始まり始まり。


2008年9月。それまでの三ヶ月間、全く休みのないハードスケジュールの仕事を終え、得意先さんへ最後の納品をした日の午後のこと。虚脱感一杯で喫茶店に入り、厳しかった日程を予定帳で振り返っていたら、なんとその日はライブのお誘いをもらっていた。すっかり忘れていた。う〜ん、どうしようかなあ。寝不足で頭はぼんやりしているし。散々迷った挙句、仕事終わりの気分転換のつもりで行くことに決めた。お誘いの主はHさん。出演者はAMI☆TAME★CHOOとある。誰?知らんな。


実はそれまで、Hさんから何度も「是非ライブへ来てくれ!」と声をかけてもらっていた。しかし行っていなかった。そんな不義理も胸の中にあった。残暑の残る尼崎の某所。AMI☆TAME★CHOOなる三人組のライブはサム・クックの「ワンダフルワールド」から始まった。イントロのコーラスを聴いて「お…」、二曲目CSN&Yの「ティーチ・ユァ・チルドレン」で背筋硬直、三曲目エルトン・ジョン「グッバイ・イエロー・ブリックロード」で、完全に後悔。「しもた、もっと早く来るべきやった!なんで誰も教えてくれへ…あ、何回も言われてたんや、俺…ああ!」。ここで教訓を:人の言うことも、たまには聞いた方がいい。


AMI☆TAMEに盟友CHOOさんを交えたこのトリオは、とにかく強力だった。ステージの進行と共に気分は高揚するのに、これまで彼らの音楽に接する機会を逃してきたかと思うと苛立ちもする。相反する心中が決壊したのは、ラストで唄われたグラディス・ナイト&ザ・ピップスの「さよならは悲しい言葉」。普通、この演目はありえない。唯一無比のオリジナルを向こうにして、たった三人、楽器はギター二本だけで、あの溺れるような恋愛情景を物の見事に演じてしまうのだから、心底参った。これで泣かなんだらいつ泣くねん!


耳の奥までガツ〜ンとやられ、ライブの余韻に浸っていたら、Hさんがやってきた。「どや、ええやろ?そやから来い言うてたんや」そう勝ち誇ったように言われても。「よかったんやったら、絵に描けよ!」え?なんで絵描かなあかんねん?まあ、しかし、Hさんは何度も私を誘ってくれていたし、不義理に対するお詫びの意味もあって、AMI☆TAME★CHOOの絵を二枚描いて渡した。翌2009年に再び三人が来阪した折、ライブの告知チラシに使われていたのがそのときの絵だった。それを見たとき思わず口走ってしまった。「こんなん使うんやったら、新しいの、描いたのに!」。それを聞いたHさん「ほな、描いてもらおか」。それから10年、未だにチラシの絵は続いている。

f0201561_19061817.jpeg