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056 <私に絵をかかせるもの:熱狂(下)>

熱狂にはハレもあればケもある。心の奥底で静かに燃えるロウソクの蒼い炎のような熱狂。大人しいが、逆に不気味で物騒。一皮むけば何が出て来るのかわからない、そんな熱狂。憧れること限り無しである。しかしそれを描いたことがないので、依然憧れのままだ。


人通りのない商店街から一歩裏へ入ると、路上に商品が山積みされた迷路のような細い路地が無数に拡がる、無秩序で非合法な世界。交わす言葉や匂いは判別不可能で、運が悪ければ外界に戻れなくなる。こんな厳かで静かな熱狂にこそ出逢いたいものだ。


熱狂にはある種の人を惹き付ける力があり、ある種の人を遠ざける力がある。熱狂に肌が合う人種にはきっと見えるのだ。熱狂が拡散の隣合わせにあることが。だから散らばって消えてしまう前に、体感したいのだろう。そうか、熱狂とは儚い美意識のことなんだな…

    
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by ekakimushi | 2009-08-14 11:30 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)