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080 <個展『ヒロノリジナル・ワンダーランド』(2003年)>

京都の新京極三条を1〜2分ほど下がったところにあるホワイトキューブ詩の小路というギャラリー。実は全く知らなかった。2003年にここで個展をすることになったのは、オーナーのNさんからオファーをいただいたからだ。イラストや写真だけでなくサブカルチャー全般に強いアンテナを持つNさんが私に連絡を下さったのは、ある企画が頭にあったからだろう。そこらへんはまた後日記すとして、半企画展として『ヒロノリジナル・ワンダーランド』をやることになった。新作として新たに描いたものはなかった(はずだ)が、これが結構大変で…。


ホワイトキューブ詩の小路はギャラリーとしてはかなり広く、可動性の壁でスペースをいろいろ区切って、様々な展示や販売閲覧ができるようになっていた。私に与えられたのは全スペース。まだ二週間前に新作ばかりの『スモール・スマイル』展を終えたばかりだったので、旧作のオンパレードみたいなものにしようと考えた。幸い山のように作品があったし(笑)。搬入当日にいろんな確認事項の往き違い等が発生して、それまで経験したことのないくらいハードな搬入になって、帰宅がえらく遅くなったのを憶えている。


内心『スモール・スマイル』展(2003年1月9日〜1月14日)の出来の悪さを引きずっていたので、たった二週間後での(2003年1月28日〜2月10日)この個展を大ノリ気で迎えたとは言えなかった。そもそも旧作の展示にはもう飽きていた。2000年の『インサイド・ストーリー』展の品々をまた性懲りもなく持ち出し、『スモール・スマイル』展とその周辺のもの+絵本の原画で固めた内容はどう見ても苦し紛れの感が拭えなかった。こんな心情ではダメなのだが、気の入らない自分をしかと感じた個展の始まりだった。


期間中はほとんどギャラリーにいることが出来なかったため、芳名録には不在に対するバッシング(笑)が数多く書かれていたが、概ね好評だったようだ。作者としたらもう見飽きた作品郡も、初めて目にすることになる京都の方々にはそれなりにおもしろく映ったのかもしれない。場所柄若い人が多く、芸術系の大学生が数多く来廊してくれたのはうれしかった。流行とは無縁のやみくもな絵に、不気味さを感じた旨が記されていて、読んでいてニヤリとしてしまった。異系を意外に受け入れる京都の街の風土を再認識した。


これは今『ヒロノリジナル・ワンダーランド』展での作家プロフィールを読んでいて思ったのだが、あのときの私は明らかになめている。業界や展示やお客さんやその他の作家さん達をなめてかかっていたのが、今はっきりとわかる。その根拠は作品に対する不相応な自信だったことだろう。思い違いも甚だしい。あれでは恥ずかしい。あれではいけない。フリーのイラストレーターになって半年あまり、やることなすことあまりに無知蒙昧、青臭くて情けないことの連続だったから、心の中になにか大きな苛立ちがあったのかもしれない。



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by ekakimushi | 2009-10-01 07:45 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)