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260 <野次争論:尖閣諸島問題>

最初に尖閣諸島問題を知った時のショックは近年にないものだった。その手の外交や政治ものの情報には不感症になっている傾向があるにもかかわらず、今回は事件以降の動向も含めて感情が揺らいだ。


経済軍事大国となった中国が日本にとって如何に危険な隣人であるか。そのことを初めて知らされた出来事だと思う。エスカレートした強硬姿勢は、かつて日本が受けたことがないほど矢継ぎ早で、一方的で、急所を突いたものだった。かつてアメリカとの間で、水面下の恫喝に怯えた日本政府は幾らでもあった。しかし今回の中国には何をしでかすかわからない類いの、血迷った危なさを感じたのは私だけだろうか。


温家宝首相がニューヨークで警告を発したニュースをテレビで見た時、思わず背筋が寒くなった。「日中関係の雪解けの旅」と訪日を称した朗らかな人物が、暴走する見習い大国の言い分を強くメディアに訴えている様があったからだ。周辺諸国に根拠のない責任を押し付けて、経済的な締め付けや武力決着で幾らでも問題は解決出来ると考えているような表情がそこにあった。一党独裁政権の恐ろしさというべきか。


中国は鄧小平時代の温厚な低姿勢外交を完全に消し去り、特に民族問題と海洋領土権には極めてヒステリックに主張をする国になった。他国への攻撃姿勢が発言からはっきりと読み取れる国になった。今回の一件に比べれば過去の歴史問題などはかわいいものだと思う。大きくパワーダウンした日本経済にとって、軍事防衛において日米同盟しか拠り所のない日本にとって、領土問題で中国と深く敵対することは極めて危険なことだ。


この問題が起こって現政権の初動対応には体をなさない点が多かった。台湾当局の声明や行動には大いに驚いた。アメリカの一歩引いた静観姿勢が露骨になった。ロシアは待ってましたとばかりに揺さぶり外交を仕掛けてきた。ネットのニュースを読むたびに、気持ちが大きく揺れた。戦争のない平和な国に住んでいるつもりだった私が、実はこんな武装地帯の中にある非武装国に住んでいたのだ。戦争をすぐそばに感じた出来事だった。


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by ekakimushi | 2010-10-08 07:39 | 野次争論 | Trackback | Comments(0)