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264 <音楽えかきむし〜イーグルスは飛ばなかった(上)>

今改めて1982年に解散するまでのイーグルスのレコード戦績を見ると、その高打率に驚く。ウィキペディアから抜粋してみた。
まずはアルバムから。

1972年 『イーグルス・ファースト』(22位)
1973年 『ならず者』 (41位)
1974年 『オン・ザ・ボーダー』(17位)
1975年 『呪われた夜』 (1位)
1976年 『グレイテスト・ヒッツ 1971-1975』 (1位)
1976年 『ホテル・カリフォルニア』  (1位)
1979年 『ロング・ラン』 (1位)
1980年 『イーグルス・ライブ』(6位)
1982年 『グレイテスト・ヒッツ VOL.2』(52位)

ついでシングル。

1972年 Take It Easy (12位)
1972年 Witchy Woman (9位)
1972年 Peaceful Easy Feeling (22位)
1973年 Tequila Sunrise (64位)
1973年 Outlaw Man (59位)
1974年 Already Gone (32位)
1974年 James Dean (77位)
1974年 The Best Of My Love (1位)
1975年 One Of These Nights (1位)
1975年 Lyin' Eyes (2位)
1975年 Take It To The Limit (4位)
1976年 New Kid In Town (1位)
1977年 Hotel California (1位)
1977年 Life In The Fast Lane (11位)
1978年 Please Come Home For Christmas (18位)
1979年 Heartache Tonight (1位)
1979年 The Long Run (8位)
1980年 I Can't Tell You Why (8位)
1980年 Seven Bridges Road (21位)

ご覧いただいてわかる通り、1974年あたりからは向かうところ敵なし、まさにアメリカン・ロックバンドの雄といった感じだ。ちょうどその最中の1975年に私は初めてイーグルスに出会った。曲は「呪われた夜」だった。ラジオのDJがエラく評価していたのでしっかりエアチェックをしてカセットテープに録音し繰り返し聴いていたが、映像が浮かんでくるイメージがあって何度聴いても飽きがこなかった。今聴くとイーグルスの中でもハイ・サウンドの影響を最も感じる。カヴァーされているのを聞かないくらいだから、本当にワン&オンリーの曲なのだと思う。


イーグルスが絶好調の時に出逢っただけに、脇道大好き少年の私は却って反感を持ってしまった。いつもこうなってしまう(笑)。特にグレン・フライの能天気さには大いに反発した。何なんだ、この軟弱でお気楽なオヤジは?本当にそう思っていた。分厚い雨雲に覆われた裏日本(死語か?)の舞鶴で育った私が、似ても似つかないカラリと晴れたカリフォルニアの青空に憧れてもおかしくはなかったのだが…。むしろジメっとしたドン・ヘンリーの苦悩するヴォーカルの方が好みだったから、環境とは恐ろしいものである。


翌76年に『ホテル・カリフォルニア』が出たときは凄かった。アルバムはもちろん、タイトル曲は日本の洋楽シングルマーケットでは異例の50万枚を越えるセールスをあげていた。高校からの帰り道にパチンコ店からこの曲が流れてきたときには正真正銘絶句した。まさに一世を風靡したといってもいい。そんな中でさえ私は首を縦に振ることができなかった偏屈者である。みんなが褒める曲も素直に認められない。唯一ジョー・ウォルシュだけを好きだと公言したと思う。今となれば案外当たっているのだ、これが。


ドン・ヘンリーのヘヴィーさはブリティッシュ的で付き合いやすかったものの、グレン・フライの軽さは納得ができず、「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」のみの一発屋だと過小評価したランディー・マイズナーや、実はギターが下手クソだという噂のドン・フェルダーは完全に欄外。バーニー・リードンに至っては名前を憶えてもおらず、天下のイーグルスも形無しだった。まあ、我が儘なだけのティーンネイジ・リスナーなんてこんなものかもしれない。しかし『ホテル・カリフォルニア』だけはしっかり買っていた。流行りだったし!(笑)


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一枚選ぶならやはりこれ。どの曲もクオリティが尋常ではない。メンバーの創作のピークを感じる。ウエストコーストの鉄板サウンド「いつわりの瞳」は80年代偽サーファー御用達の一曲だった。ちなみに彼らは波のある日は危ないといって海には入らなかった。
by ekakimushi | 2010-10-16 11:28 | 音楽えかきむし | Trackback | Comments(7)
Commented by onthenodo at 2010-10-17 19:49
いや〜また挑発的なEagles評ですね(笑)。私にとってのEaglesは『Take It Easy』『Already Gone』『Lyin' Eyes』『New Kid In Town』…グレン・フライなんです。基本、青臭いノリが大好きなもんで…。『Peaceful Easy Feeling』は流石に軟弱・お気楽に過ぎる嫌いがありますが。次いで好きなのがランディ・マイズナー。脱退後のソロ作でもしつこく再録してた『Take It To The Limit』は、フライの『Take It Easy』の続編、みたいな名曲です。『Try And Love Again』もいい曲ですね。ハーモニーの高音域を受け持つ彼のヴォーカル、サウンドの正に要のベース・プレイ。『One Of These Nights』『Hotel California』ではその白眉の演奏が聴けます。『ホテ・カリ』がラジオとかでかかると、私はもうランディのベースしか追っかけてません。そう言えば、『ホテ・カリ』が出たのが中3の時。確かお年玉で買ったこのLPはタイトル曲の爆発的ヒットのあおりで、いったい何人のクラスメートに貸した事か…多分20人は超えてます。
Commented by onthenodo at 2010-10-17 20:14
ランディが脱けた後はPOCO繋がりでティモシー・シュミットが加入しましたが、次作『The Long Run』までのインターバルが3年ほどもあり、その間に時代は変わり、パンク〜ニューウェイヴの洗礼を受けた私の中でリアルタイムで聴くイーグルスはなんだかダサい存在になっていきました。過去のレコードはその後も追いかけたのですけど。ティモシー作のヒット『I Can't Tell You Why』を耳にしては、こんな唄のどこがええねん、と、ランディ派の私は心の中で悪態をつぶやいていたような気がします。いま思えば『ロング・ラン』、このラスト作において、イーグルスの双頭、陽と陰、優男とジジムサい、いや渋面であるグレン・フライとドン・ヘンリーのキャラが若干逆転現象を起こしていた気がしなくもありません。つまり相次いで出たシングル『Heartache Tonight』(フライ)『The Long Run』(ヘンリー)、前者のサウンドの方により重みが感じられ、後者により正統ウェストコースト・サウンド的な陽射しを感じるのです。
Commented by onthenodo at 2010-10-17 20:31
The Byrds〜The Flying Burrito Brothersの流れを汲み、70年代ウェスト・コースト・サウンドを体現した存在だったイーグルス。そのスケールアップの過程でドン・フェルダーが入り、ジョー・ウォルシュを加え、バーニー・リードンは不要になり、サウンドはより厚くヘヴィになってゆきました。ジョー・ウォルシュに関しては『ホテ・カリ』後に出たソロ作『But Seriously, Folks...』は当時から大好きな一枚です。夏向けで、スカッと抜けた音なのに、ズシン、とくる奇妙なサウンドが堪えられない感じで。アルバムの最後を飾る大作にしてヒット曲、『Life's Been Good』はその後イーグルスの重要なステージ・レパートリーとして定着してしまった感があります。
Commented by onthenodo at 2010-10-17 20:46
『One Of These Nights 呪われた夜』。タイトル曲もいいけど、『After The Thrill Is Gone』もええうたですね。グレン・フライとドン・ヘンリーがヴォーカルを分け合うというのが、また…
Commented by ekakimushi at 2010-10-17 21:08
あら〜、明日書く予定のところまで、全部書いちゃったのね〜(笑)。さすがの食いつき、恐れ入りました。もうこのフラグは預けてもよさそうですな!

十代の頃の感性はいい意味で無責任ですから、裏付けなど全くないわけで、それが今になると妙におもしろかったりするのです。想い出してみれば、ああ恥ずかしい!というやつです。
しかし、そんなものよりもonthenodoさんの突進ロック節の方が数段おもしろいと、私、今日気づきました(笑)。
Commented by onthenodo at 2010-10-17 21:39
>明日書く予定のところまで、全部書いちゃったのね〜
すっすいません…なんせ山育ち、生まれながらのイノシシ野郎なもんで、また止まらなくなってしまいました。お許しください。teenagerの頃の聴き方って、ほんま感性の赴くまま、そうですよね。理屈も脈絡も臆面も無く好きなもんは好きで仕様がなかった時代でした。ekakimushiさんのイーグルス講話、次の展開を楽しみにしております。
Commented by ekakimushi at 2010-10-18 07:41
何をおっしゃいます!読んでいただき書き込んでもらえる幸せを感じています。気にせずに突進願えたらありがたいです。では,今から第二弾をいきたいと思います。