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386 <真冬の三島由紀夫(上)>

三島についての想いを書くとなると、相当の心構えが必要になると思う。なにせ私の十代から三十代までの多くの時間を支配してきた人だ。大風呂敷を広げて、重箱の隅をつつくように、ひとつひとつ自分の三島考を繰り広げていたら、どこまでいってしまうかわからない。ここはひとつ、思いつくままに、三島と一緒に過ごしたこと日々を書いた方がおもしろい気がする。今更一から掘り返した三島論を一生懸命書いたところで、このブログの読者の方々に喜んでもらえるとは到底思えない。


私の中で、三島由紀夫はいつも真冬の人だった。身を切るような寒波の季節こそが三島に相応しい。きっとそれは三島の作品の場面設定に、冬が多用されていることと無関係ではないだろう。作中の会話で「冬は清潔だから好きだ」と登場人物が発言している作品もあるくらいだ。終いには読んでいるこちらまで冬好きになってしまった。自分をむやみな熱から遠ざけてくれ、心身の佇まいを正してくれる冬。冬について思うとき、いつも私のとなりに三島が居る。


大学4年生の就職活動で、とある企業の最終面札を受けた。こちらはひとり、相対する企業側は役員さんたちが5人はいただろうか。一通りの質問の後、尊敬する人物について聞かれた。間髪入れずに「三島由紀夫です。」と答えると、長い沈黙が。帰りのエレベーターの中で、人事担当の課長さんに「あの場合、答えとして三島は相応しくない」と注意を受けた。そんなことはわかっていた。私にとって大事だったのは、尊敬する人物は三島由紀夫でなくてはならないことだった。

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後方は現東京都知事。手前の三島がカメラを意識しているのとは対照的に無邪気にして無防備。好きな写真だ。
by ekakimushi | 2011-08-17 07:56 | 私のお気に入り | Trackback | Comments(3)
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Commented by ひとみ at 2011-08-17 10:01 x
子供の頃に割腹自殺されたという事実は衝撃的でした。
ナルシストだったとか、後世、彼については神話的に美化された
伝説ばかりが入ってきます。
私とそう歳の違わないekakimushi さんが三島について語るというのもすごく意外です。多分、たくさんお勉強なさったんだなぁ~
今度、お目にかかった時に色々お聞かせ下さい。
ekakimushi さんの新たなる切り口が見えそうでドキドキです!
Commented by ekakimushi at 2011-08-17 13:44
<ひとみさんへ>すんません、大して勉強もしていないんですわ。寺山修司やレイモン・ラディゲと同じで、十代で出会うと痛い目に遭うタイプの作家が三島由紀夫でした。
自決については別項に譲りたいと思うのですが、人生の中で長い時間を一緒に過ごした作家だったので、今も謎めいたところは謎のままにしておきたい気持ちが大いにあります。今度の11月25日が来ると、あれから41年が経つことになるのですね。
Commented at 2011-08-17 13:45
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