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502 <負担ではなく差別>

沖縄の基地ルポなどを手がける某ライターさんが使っているのを気にはかけていましたが、沖縄においてこの十年ほどの間に「軍事の負担を強いられてきた」という従来の表現は「在日米軍基地の差別被害を被ってきた」に変わってきました。というのは、以前の表現は間違っていたからです。あれは負担などではなかった。明らかに差別です。

沖縄を欺き続けてきた密約の連続。基地面積の数字に見られる異常な偏重。在日米軍人による犯罪の多さ。口封じのように現金をばらまいて、沖縄経済を骨抜きにしてきた施策。口上よろしく県外への基地移設を謳い、勉強不足を理由に公約を簡単に撤回した元首相。そして癒しの島と褒め殺すことで、沖縄への軍事圧殺から目を背けてきた日本国民。沖縄の言い分は拒否され続け、日米安保の枠から除外されてきました。これは差別であって、負担ではない。

そこへオスプレイ配備の一件です。今度ばかりは負担という名の差別を沖縄にだけ押し付けることにはならないようで、岩国基地で搬入とテスト飛行、その後オスプレイによる日本列島を縦断低空飛行訓練を繰り返すとの声明が米軍からあったばかりです。尻に火がついたように岩国市長と山口県知事は態度を硬化させました。森本防衛相は墜落事故を起こしたばかりの危険極まりない輸送機が、普天間や岩国に落ちても仕方ないとでも考えているのでしょうか。

今の野田総理の心は沖縄にはないでしょう。「軍備配置も社会保証の抜本改革も誰がやるかよ。財務省の官僚がやれっていうんだから疑似大連立までして増税するんじゃないか。現実路線の増税ありきだよ」こんなところでしょうか。事故が起こってから想定外だったと言うだけだったら、誰が首相をやっても同じ、それこそ東電幹部と同罪です。

仲井眞沖縄県知事は政府に対して「あれを銀座で飛ばせますか?」と突きつけました。この発言は「自分の家に災難が降り懸らないんだから、何でもかんでも押し付けて金で黙らせてしまえ」という防衛省への強烈な民意行為でした。「基地集中を負担というなかれ、あれは差別だろうが!」と言外に込めて放った檄であったと私は受け取りました。

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by ekakimushi | 2012-06-22 21:31 | 野次争論 | Trackback | Comments(0)