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520 <ビクビクしながら>

ビクビクしながら絵を描いています。いくら絵を描くことが大好きでも、毎日毎日同じことを同じようにやっていたのでは、いつか飽きがきます。そうなることを恐れているから、というわけではないのでしょうが、おそらく多くの絵描きさんたちは創作の過程でなんらかの実験を施して刺激にしているはずです。でなければ何十年も描き続けることができる人など、そうは存在しないでしょう。

かくいう私も恥ずかしながら、慣れない手つきで実験めいたことしながら怖々絵を描いております。そう思いながらやっているせいでしょう、いつも絵を描く時に訪れる心の安心、安定、落ち着きのようなものを感じることが皆無です。失敗しやしないか、最終的なクオリティは大丈夫なのかなどと、心の中でビクビクして過ごしています。改めて思うのですが、変な職業ですねえ。自分で自分に刺激を打ち込んで怖がっているなんて。

なぜそんなことをするのでしょうか。同じような絵を描き続ける人だっているのに。思うに、絵は生き物なので、放っておいても変化してゆきます。不変であり続ける画風というのは、敢えて変化させない強靭な画力や意思が必要で、私のような非力な絵描きには到底無理な力技です。だったらむしろ意図して変化させてゆく方を選びます。しかしこれはこれで難しい。自らの変化によって何かを失ってしまった人もきっといると思う。

変化前と変化後の間における匙加減、塩梅のようなものが極めてデリケートなのです。それはなにも絵に限ったことではなく、創作においては全てに言えることでしょう。行き過ぎてはいけないですが、届かなくては意味がない。いわゆる自己内スキャンダルが他者に感知される度合いの問題なのです。そんなことを考えながら、今日もビクビクおびえながら絵を描いています。私は気が小さいから怖くて怖くて…

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by ekakimushi | 2012-08-23 13:05 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)