771 <夢みる歌謡曲1972(中)>

嗚呼、歌謡曲。こんなフレーズが年末の商店街にはよく似合います。嗚呼、J-POPとかでは季節感もさっぱり感じられないです。中味は大差ないんだと思います。とは言っても、世に流れる歌は、時が進めば幾分チャイルディッシュになる傾向があって、今の演歌は昔の歌謡曲並みに弾けているし、ゴスペルもかつてのような超ディープなのはあまり耳にしなくなり、ディスコミュージック並みにポップス化しているように思えてなりません。進化と言えば聞こえはいいですが、幼児化とも受け取れてしまう私です。この耳がただ偏屈なだけなのでしょうか(笑)。


◯「出発の歌」:上條恒彦
厳密に言えば、この「出発の歌」は1971年11月に発売されたようだ。そして同年の第2回世界歌謡祭でグランプリ・歌唱賞を受賞している。その時のテレビ放送を私も見たが、上条恒彦はほとんどオペラ歌手のような声と声量と存在感があって、大いに驚いたものだった。よく聞けばこの曲、作詞が及川恒平で、作曲は小室等という、たくろう絡みの面子らしいではないか!道理で痺れる曲のはずだと小学生の分際で、いっちょまえに人脈図にまで首を突っ込んでいたのが我ながら笑える。翌72年に何回か上条がこの曲を唄うのを聴いたが、初聴きのスケール感や熱っぽさ、声の張りを期待しては叶えられなかったことを憶えている。そして25年ほど前に、小室等にたまたま会うことができたときに、かなり苦労して「出発の歌」を仕上げたのに、関係者が「しゅっぱつの歌」と読んでガクッときたよ、てなことを聞いてた。
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◯「ひとりじゃないの」:天地真理
飛ぶ鳥を落とす勢いというのは、この頃の天地真理のためにあるような言葉だったかもしれない。「ひとりじゃないの」は彼女の得意なシャッフルするリズムが効いたポップソングで、当たり前のように大ヒットした。当時の売れっ子は睡眠時間2~3時間が何日続いても、平気な顔をしてカメラ前でニコニコ唄っていなければ人気を維持できないと考えられていた。芸能界はそのくらいブラックな企業の集まりだったのだろうし、売れっ子とはいえ消耗品扱い、搾取の対象に過ぎなかったのだろう。天地真理はそんな過酷なアイドル業の荒波の真っただ中を、もの凄い人気とともに泳ぎ切った歌手だった。正直言ってそんなに好きではなかったし、テレビで見ては飽き飽きしていた。どちらかというと、同性ファンの支持が強く強固だったからあそこまで登り詰めることが出来たのではないだろうか。もちろん男連中のかけ声もうるさかったが(笑)。
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◯「喝采」:ちあきなおみ
1972年の賞レースの終盤から登場し、猛烈な勢いで追い上げてゴール寸前で大本命の「瀬戸の花嫁」を鼻の差でかわし、見事第14回日本レコード大賞を受賞した。小学校6年生だった私には、最初はピンとこなかった。ちあきなおみは好きだったので、「これかあ…」という落胆した感じで受け入れた新曲だった。そのうち、周りの大人たちが、歌詞の背景はちあきなおみの実際の出来事らしいと、妙に盛り上がり始めて、その噂に巻き込まれるように好きになっていった。本当のところはよく知らないが、歌番組で見る限り、劇場型(演劇的な要素が強い歌唱スタイル)の彼女にストンとハマったようなところがある曲だった。他の歌手が出ている番組でも、この曲をちあきなおみが唄うと、番組のカラーがワンマンショーっぽく見えてしまうほどだった。レコードではわずか3分35秒だが、聴き終わると一本のドラマに匹敵する密度を感じたものだ。
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by ekakimushi | 2014-12-24 21:25 | 音楽えかきむし | Trackback | Comments(2)
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Commented by ひとみ at 2014-12-25 11:10 x
旅立ちの歌のレコード持ってます。好きだったなぁ~
拓郎ラブだったからか、小室さんの雰囲気が好きだったのか・・・
ませたガキだったんだな・・・(笑)
後に六文銭のけいこさんと拓郎が結婚したのもひとつの時代。
この頃からずーっとフォークが大好きです。
最近のTVの音楽番組は嫌い。落ち着かない。
ちゃらいお姉ちゃんやお兄ちゃんのグループばかりで、
そんなのに振り回されてる方々をしらけた目で見てしまいます。
かつて、親世代が「懐メロ」番組を見ていたけど、
今、私達もそんな番組を探してしまってることに「くすっ」と
笑けてしまう・・・・今日この頃です。
Commented by ekakimushi at 2014-12-25 11:59
価値の違うことは、難しくもよいことなのでしょうね。それを認められる受け皿があれば、それぞれを耕せるのでしょうが、現実はなかなか理想とは離れた感情に支配されていて、価値の共有が上手くゆかないのが本当のところです。