817 <墨汁と遊んでいたい>

何年も前に買った墨汁を使ってみました。画材入れの箱の中で長い間眠らせていて、たまたま先日目にして取り出したのです。蓋を開けると、煮染めたような良からぬ香りがしました。にかわ独特の臭みか、それとも長く溜め置いた末の醸造香か?筆に墨をつけて描いてみると、ほぼ何の問題ありません。意外なくらいにスラスラと描けます。紙との相性もあるのでしょうが、普段使っているアクリル絵の具よりも、抵抗も比重も小さい気がしましたよ。

絵皿に墨汁をドバッと出すと、入れ物の底からぼろぼろと墨の固まりがこぼれ出てきました。ああ、やっぱり…放置したせいでやってしまった。水に溶いて筆をつけると、小学校一年生の頃、一年間だけ習っていた習字を思い出しました。その頃はもちろん硯で研いでいましたが。墨の黒いてかりは、なにか私の中の古い記憶まで引っ張り出してきそうで、さしずめソウルフードならぬ、ソウルツールのような気がしました。

墨を含んだ筆の走りが懐かしい。黒の深さが懐かしい。もう少しのあいだ、墨汁と遊んでいたい。

f0201561_139789.jpg
             添付されている画像の無断転用・使用を禁止いたします。
[PR]
by ekakimushi | 2015-06-10 13:10 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://ekakimushi.exblog.jp/tb/24120240
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。