831 <消えたメモ>*

私は記憶に関して危ないと思う時には、メモ用紙に書き付けておくようにしています。わかるように書いておけばいいのですが、急いでいるのかメモだから省略形でよいと思っているのかわかりませんが、何が書いてあるのかさっぱりわからないのがたくさんあります。もう終った事項なのか、これから始まるのかもわからないのも多い。誰の電話番号なのか、誰の住所なのか、何のためのメモなのか、書いた本人も皆目見当がつかないメモも多い。メモ書きと称して、書いておけば、あとは忘れても大丈夫、ただそれだけの安定剤のような役割の気がします。おかげで日々の混沌は増すばかり。全部自分が悪いんですが(笑)。


不思議なのは数多くある絵のメモ書きはほぼ全部解読できるし、失わずにしっかり残っていることです。メモといっても3センチ四方ぐらいの小さな落書きがほとんどですが、時間が経っても充分わかります。これは書き付けの時のイメージ像が頭の中に残っているからでしょう。否や、最も新鮮な絵がこのメモの上に保存されていると云った方が正しいかもしれないな。かようなメモの次の段階がいきなり作品の本描きというのは、よくよく考えてみれば自分のお決まりの手順なのですから、そりゃ絶対に失わないでしょうに。他人の住所や電話番号とは決定的に違う、私にしか判読・利用できない、重要な情報が描いてあるわけだから。


ところがですね、無くならないはずのイメージ画のメモが十枚前後消えてしまったのです。どこを捜してもない。ハリウッドの映画によくあるような、どこかの産業スパイが私の部屋へ忍び込み、マイナーな絵描きの殴り書きの中に機密文書を見つけて持ち去ったかに思われましたが、どうもそうではないらしい(笑)。新たにメモを起こし直したらいいじゃないかという向きもあるでしょうが、最初のメモ書きにだけある絶対性(一筆目の真実みたいなもの)に頼りたい私は、想い出して書き起こした「追従メモ」には心が惹かれないのです。どこかが違うんですよ。いったいどこへいったのだろう。

(*日記No.0228 2010年8月5日掲載のリメイクです。) 

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by ekakimushi | 2015-08-05 22:16 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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