853 <だから走るんだ(2/4)>

事の始まりは2008年の新年会でした。その頃毎年正月明けに、大阪は谷町六丁目の高津宮とんど祭に友人らと繰り出しては、一日中飲んだり食べたりをするのが恒例になっていました。そのメンバーの中の二人が、沖縄県の久米島へマラソンを走りに行っていると話し出したのです。すると何人かが気になったようで、結局6人がその年の10月最終日曜に開かれる久米島マラソンに出ようということになったのです。私もその中の一人でしたが、出るとは言ったものの、内心「出るわけないじゃないか…」と思っていました。

ところが飛行機や宿をどんどん予約され、走らないわけにいかなくなり、渋々練習を始めたのが本当のところです。初めて練習で走った2008年の2月の最終土曜日。距離にして1,5km。運動不足で身体がしんどいのはわかりますが、頭の中が靄がかかったように霞んで、翌日もはっきりしない。とにかく眠い。これって危ないんじゃないのか?そう感じたのですが、翌週も翌々週も走ってまた同じ事でした。そうこうしているうちに、なんとか走れるようになってきました。

規則的な生活が向いている私にとって、生活のリズムにラントレが組み込まれてからは、走ることは快感になってきました(そうでない事も多い多い!)。そして約八ヶ月の後に久米島マラソンの10kmの部に出場しました。走る前にランニングはこれでお終い、と思っていたのですが、走って帰ってきたら「次はハーフマラソンだ」と意識が変わっていました。不思議です。あの10kmを走る間に何があったのだろう?自分でもわからないのです。ただ、ハーフマラソンの部のゼッケンが、無性に格好よかった(笑)。

レースの後、運動広場では、大会主催の大宴会が開かれ、みんなが憑かれたように踊り狂っていました。その光景に中で、漠然とした疑問が浮かび上がってきました。なぜこんな小さな島へ、皆走りにくるんだろう。なぜ苦しいのがわかっていながら、ランナーたちは走るのを止めないんだろう。なぜ私はこの場にいるんだろう。時間が経つにつれて久米島マラソンの特殊な世界を、自分なりに絵本で表現してみたくなりました。少しずつ、少しずつですが、その思いが強くなってきたのです。

2011年10月。久米島マラソンで、初めてのフルマラソンに挑戦して完走しました。ゴール後に完走メダルをかけてもらうのですが、頭を下げた瞬間、溜まっていた水がこぼれるように、一気に涙があふれて止まりませんでした。自分でもびっくりしました。これまで触れた事のない感情でした。これは只事ではない。そのあたりからヘッドワークで(文字や絵にした事は一度もなかった)、一本のストーリーが極自然に出来上がってきました。あとはどこでスイッチが入るか、それだけだったと思います。

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by ekakimushi | 2015-11-25 08:52 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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