854 <だから走るんだ(3/4)>

2014年11月。大阪の海月文庫さんで、私は個展『エヴリィ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』を開催していました。あかね書房さんの編集者であるEさんが、来阪の機会に合わせていらして下さいました。その帰り際に、出口でポツリと「マラソンをやってらっしゃるんですね。ブログ、拝見しました。絵本になりませんか?」「あります、爆弾が。」「爆弾ですか?」立ち話でほんの1分か1分半ほど。Eさんに説明にもならないような説明をしている最中に、はっきり自覚できました。今スイッチが入ったと。


その後少し時間を置いてから、Eさんにダミー本を送り、それを返してもらったりしながら、共同作業のように進めてゆきました。自分でも思ったのですが、いつもなら「俺が俺が」でけもの道を行ってしまうところがある私なのですが、今回はEさんの提案や助言を実に素直に(笑)聞き入れました。なんとなくそうした方がいいものが出来上がる気がしたのです。編集という仕事は十人十色で、やり方は人それぞれです。Eさんと初めてご一緒させてもらい、彼のガイドに沿って走ってゆくレースのように思えたのでしょう。


夏になって作画に取りかかる段階からは、Eさんは気配を消して、放っておいてくれました。私にとってはそれが何よりで、とても楽でした。「待つことも仕事」と以前別な編集者さんに聞いたことがあります。本当にその通りに静かに待っていただいて、それで大きな遅れもなく原画アップに漕ぎ着けました。Eさんの作品に対する熱意は信頼に値します。提案の切り出し方はとてもスマートです。控えめで一歩引いた眼差しが感じられる編集者さんだと思う。こちらの意欲を削ぐ事なく伴走してくださって感謝いたします。どうもありがとうございました。是非またご一緒したいです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


装幀は、私の希望で、羽島一希さんにお願いしました。これまで『ピオポのバスりょこう』『デデとひこうき』を手がけていただきました。『だから走るんだ』もダミー本を作っている最中から、羽島さんありきで構想をしていました。出来映えはさすがで、とてもいい仕事をして下さいました。今回は特に色味で強力にサポートしてくださり、大助かりでしたよ。いつものことながら、作家性と作品に対する読み取りの力は素晴らしい。望んだ通りのスカッとした絵本に仕上げてもらってうれしいです。たぶん、またお願いすると思うので、そのときはオファーを受けてやって下さい。どうもありがとうございました。


印刷を担当していただいたのは精興社さん。絵本好きの方なら、福音館さんのこどものともの奥付で、よく目にする社名です。私にとって初めてのお手合わせ先だったにもかかわらず、色味に関して言いたい放題だったので、さぞかし大変だったろうと思います。Eさんと精興社さんをアゴで使い、三校までねじ込んでしまってすみませんでした。おかげでお天気のいい晴れた日が表現できました。空の青は、今まで私が作った絵本で、最高のものです。また朝のシーンの見開き場面は、原画を上回る表現になっています。無理難題の要求を聞き入れて下さり、本当にありがとうございました。またどこかでご一緒させてください。

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           今回は二色帯付き。力の入った紹介文はEさん。熱いぜっ!(笑)













    
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by ekakimushi | 2015-11-27 11:09 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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