855 <だから走るんだ(4/4)>

新刊絵本『だから走るんだ』の特集も、今回が最後になりました。32ページものの絵本の原画を描くのに、私は平均して2ヶ月ほどの時間が必要です。その間は、できるだけ一定した生活のリズムが持てるように、敢えて大きな気分転換をしない傾向があります。心掛けているのは、日々同じヴォルテージで絵を描くこと。そのような毎日に聴く音楽は重要です。できれば一冊の絵本を描くときに、ずっと聴いていられるCDがあるということなしなのですが、こればかりは出会いもあってなかなかコントロールできないものです。


7月初旬に『だから走るんだ』の原画制作に取りかかったとき、たまたま手に取ったCDがジェームズ・ブラウンの72年のアルバム『Get on the Good Foot』でした。それ、出来過ぎじゃない?と思う人もいるかもしれません。「走る」と来て「Good Foot」ですからね(笑)。しかし本当に偶然なんです。私はこの時期のJ.B.が大好きで、翌年のサントラ『Slaughter's Big Rip-Off』や前年の『Revolution Of The Mind』は愛聴盤として重宝しています。実は今回ヘヴィローテーションのように、一日二回、二ヶ月間ずっと聴き込んで、『Get on the Good Foot』の魅力を再認識しました。こういう聴き方が正しいのかどうかはわかりませんが。


『Get on the Good Foot』は、J.B.初のスタジオ録音のみによる二枚組レコードとして発売されました。(CDは一枚もの)70年代前半のJ.B.はやたら二枚組が多く、それも必然性に首を傾げるような作品が幾つかありますが、本作は間違いなく傑作だと思う。J.B.本来の気合い・気迫が籠っていて、娯楽提供者としての引き出しの多さが圧倒的です。聴き出して、あっという間に終わってしまう。代名詞のファンクサウンドはタイトルナンバーや「I Got A Bag Of My Own」の熱さが最高。バラードも力作があって「Your Love Was Good For Me」やCDのみで聴ける「I Know It's True」は唄のスケールの大きさが頼もしい。


必殺の自作リメイク『Cold Sweat』『Lost Someone』『My Part / Make It Funky, Part 3 & 4』は、これまでのようなアルバムの埋草扱いみたいな中途半端さがなく、新鮮に聴こえます。長尺曲『Please, Please』のジャム感覚、お笑いセッション『Funky Side Of Town』などは、二枚組レコードだからこそ収録ができた長さです。唯一語りの『Recitation By HANK BALLARD』は不要かと思いますが(笑)。バックの面子も凄いのひと言。ジャボ、スタブルフィールドのドラム、ブーツィーもいればマイケル・ムーアもフレッド・トーマスもいるベース、サム・ブラウン、フェルプス・コリンズらが控えるギター、ホーンに至ってはもう紹介できないくらい!


おそらく客演だと思われるバーナード・パーディやデヴィッド・スピノザ!、ジョー・ベックにブレッカー・ブラザーズの名前もあって、曲を追いかけクレジットを追いかけ、全く飽きのこないアルバムでした。さすがに2ヶ月間聴き通しだと、最後の方は「もう当分いいかな…」の気分になりましたが。しかしこのCDのおかげで、『だから走るんだ』の原画制作を一気に完走できた気が、今はしています。それぐらい気分にぴったりハマったのです。今度改めて聴き直してみたら、きっとこの夏の絵描き部屋の情景が浮かんでくるでしょうね。いつもいつもこんな具合にはいかないので、J.B.に大感謝!

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by ekakimushi | 2015-11-29 13:35 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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