898 <看板絵の掛け替え>

少し前に、当ブログの右上にある看板の絵を、掛け替えました。昨年出た絵本『だから走るんだ』の中にある、マラソンのスタート直前の場面です。この本を作るにあたって、一番描きたかったシーンです。私自身がいつもレースに出場する側なので、この絵のようなカメラ位置でランナーを見ることは、まずありません。(テレビなんかで余所のレースの出走前の映像を見ることはありますが。)きっと緊張した顔つきの選手がいるんだろうな、余裕綽々の人もいるだろうな、自分だけの世界に入ったランナーは多いだろうな、そんなことを考えて描いていました。


レースが始まる、まさに直前。自分がスタート地点に立った、そのことがもう成功だと、私はいつも思っています。42.195kmを走るわけですから、それなりに予定を組んだ練習をしないと完走できないですし、風邪や怪我、体調不良だけは避けなければなりません。家族の理解も必要だし、もしかしたら不可抗力によって参加できないことだってあるでしょう。そういった出場を阻害する様々な要因を回避して、スタート〜あとは走るだけというところまで、自分を連れて来ることができた。もうこれだけで立派なものだと、大いに自分を褒めてから走り出すのが、私の常です。


この絵には、そんな心持ちをした人の集まりが描かれています。スタートラインにつくことは決して当たり前ではないです。それは何もマラソンに限ったことではないでしょう。何事においても、意志、運、周囲の協力、周到な準備など、全てが揃って初めて、私らは望むところへ走り出してゆけるわけです。その原動力は一人の人間の、ささやかな欲望です。私はそれら全てを大事にしたい。結果にだけ目をやる類いの人もいますが、スタートラインに辿り着くまでの価値に気付いている人は多いと思う。スタートする瞬間に溢れる喜びがありますように。


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by ekakimushi | 2016-04-28 19:25 | Trackback | Comments(0)
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