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976 <新しい船に乗る人>

先月友人が我が家へ遊びに来てくれました。この3月に大学を卒業し、住み慣れた関西を離れ、新たなる社会人として泳ぎ出してゆく若い人です(以後Mさん)。Mさんと会うのは久しぶりだったので、お昼過ぎから夜9時過ぎまで、実にたくさんのことを話しました。旅のこと、大学生活のこと、就職活動のこと、将来のこと。他にももっとあったはずですが、楽しい時間が過ぎてゆく中で、頭の中からきれいに消えてしまったこともあるみたいです(笑)。


私はMさんを子どもの頃から知っているのですが、22歳になられた今、大きく変わったと思うことは案外少ないです。むしろ初めて会ったときに、Mさんは充分に成人だと思えました。会話の中で、言わんとするところを明確に伝えられる力は、そこらの大人よりもずっと優れていました。子どもにありがちな突発的衝動的な行動を目にしたことがあまりなかった。(意識的に押さえていた節はあったものの。)そんな人が、本当に大人になった姿を目にした一日でした。


Mさんには、4月から働く職場での理想があり、理想の裏付けになる体験や哲学がありました。教えてもらって、なるほどと感じました。周囲の人から受けた影響や自分が生きた環境など、全てのキャリアを一切無駄にしていないことがわかる。落ち着いた口調に意志が宿っている。そして話しを聞いて感じました。「ああ、この人は、いよいよ船出をするんだな。新しい船に乗るんだ」と。何かしら、旅に出る前の熱情のようなものを感じたのです。


おそらく自分の思うようにならないことは多いだろう。心が折れるどころでない衝撃がやってきたときは、うまく避けられるといいな。現実と理想の乖離をどう埋め合わせするだろうか。多種多様な人に巡り会うことは間違いないだろう。来月から始まるMさんを巡る冒険は、どんな形、色、模様を描くのだろう。今度会うとき、Mさんはどんな大人になっているのだろう。そのとき私は何を言ってあげられるだろうか。

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by ekakimushi | 2017-03-11 23:11 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)