1001 <二回の待つ機会>

ちょっと前に当ブログで、待つことについて少しだけ書いたことがありました。そのせいかどうかわかりませんが、6月に入って長々と待つ機会が二回あったのですよ。


今月初旬に野暮用で東京へ行きました。朝10時過ぎから3時ぐらいまでで用を全て終わらせたのをいいことに、足を国立新美術館へ向けました。終了間際のミュシャ展を見に行ったのです。が、なんと80分待ち!ウィークデーなのに、この人出とはどういうこと?尋ねるまでもなく、そういうことだったのしょう(笑)。帰りの新幹線が7時だったので、それに間に合えばいいやと考えて、ひたすら並びました。待つとはいっても、ゆるゆるながら列が前に動くので、比較的ストレスのない時間でした。いいお天気だったので熱中症の可能性もあり、列の途中で飲料水の提供もあったのがなかなか効果的な配慮でした。


1980年代中頃に一世を風靡したテニスプレーヤーのイワン・レンドルは、熱心なミュシャのリトグラフの収集家として有名でした。プラハの春を経てアメリカへ亡命したチェコ人としては、祖国の世紀末芸術家に特別な想いがあったのでしょうか。そのレンドルがミュシャの連作『スラブ叙事詩』の素晴らしさについて説いたインタビューを読んだことがありました(確かテニス雑誌でしたが…)。若造の私はまるでピンと来ていなかったのですが、今回の展示でレンドルが伝えようとしたことはこれだったのか!と、納得できる気がしました。ミュシャは売れっ子の複製芸術作家だとばかり思っていたので、自身のあらゆる根っこを網羅したかのような渾身の大作に囲まれて、私は内心恥ずかしかったわけです。大方のお客さんたちが一番生き生きしていたのは、撮影O.K.の部屋に入ってスマートフォンを掲げてパシパシ映しているときでした。お手軽な獲物捕獲を鑑賞よりも優先してしまう、とても21世紀的な光景でしたね(笑)。何はともあれ、80分間しっかり待っただけのことはある展示でした。


もう一は、つい先日行ったUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)でのこと。いただきもののチケットが期限切れになる前に、間際の駆け込みで訪れたのですが、なにせ前回行ったのが開園当初だったので(笑)、その落差に驚くばかり。何が違うって、お客さんの6〜7割はインバウンド。ここは国内か?と思うぐらいに、あらゆる言葉が飛び交う園内でした。海外からの観光客の経済効果を目の当たりにしましたね。もちろんアトラクションも10数年前と比べて大きく様変わりしていました。お目当てはハリー・ポッターのエリアです。入園して一目散に走ったのですが…掲示板には待ち時間は70分とのこと。


ミュシャ展よりも10分短いから、なんてことないと思っていましたが、やっぱり長かったです。長蛇の列の待ち客がガックリしないように、できるだけ待っている人の全貌が見えないような配列の工夫がされていました。しかし進めど進めどいつになったらあの学校の中へ入れてくれるのか。ようやく入ったと思ったら、肝心の乗り物は10分足らずで終了。おまけに少々乗り物酔いもして残念でした。大きな期待はしていなかったのですが、待ち時間を過ごした労苦を打ち消してくれるだけの魅力が、あのアトラクションにあったかどうかは疑問です。あくまで私の感想なので、そこはひとつ、みなさんご自身で長時間並んで体験してみて下さい。それが待つことの対価としての正しい情報だと思いますから。

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by ekakimushi | 2017-06-10 17:44 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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