1004 <パスタを茹でる場面>

私は村上春樹の小説を読み始めて、まだ20年ぐらいです。話題になった『ノルウェーの森』だけはリアルタイムで読んだのですが、それ以外はほとんどが後追いです。彼の作品について語るには、まだまだ読み込みが足らないのですが、作品そのものから受けた影響の中で大きなものがひとつあって、それはパスタ料理を作ることです。


お世辞にも私は料理が上手いとは言えないし、そもそもあまり手を出しません。なのにパスタ、特にスパゲッティは頻繁に作ります。手軽な昼食になるのが一番の理由ですが、村上春樹の幾つかの作品の中で、登場人物(主に主人公)が一人でパスタを茹でるシーンが妙に頭の中にこびりついていて、自分が登場人物を演じているような気持ちで調理をしてしまうのです。


静まり返った台所で、男が一人、何の盛り上がりもなく、ただ淡々とパスタの一品を作る場面。その同じ設定が自分の実生活に訪れたときに、日常の光景から逆行して、村上春樹の作品の質感を感じました。子どもがアニメのヒーローの真似をして浸って遊ぶと機嫌がいいように、パスタを茹でていると何かしら心が穏やかに落ち着きます。


今日のお昼も、同じ調子で村上作品の主人公になりきって、私は1.4mmのスパゲッティを茹で、茹でたキャベツとエリンギを絡ませていただきました。外は雨降り後の静かな景色です。何の音もしません。ニンニクを炒めた香りがほのかに漂っています。不思議なことに、パスタ以外の料理のレパートリーはほとんど増えません。まだまだ浸り飽きていないのでしょう。    

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by ekakimushi | 2017-06-21 13:45 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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