1026 <『はしをわたってしらないまちへ』(4/4)>
早いもので新刊絵本『はしをわたってしらないまちへ』特集も今日が最終回。となれば、最もお世話になった編集者さんについて語らないわけにはいきません。担当していただいた編集者Iさんとは、2009年に東京の青山にあるギャラリーオーパさんで個展をした際に、初めてお会いしました。実はそのとき、I さんの上司の方が先に見にきて下さり、福音館書店さんの名前とその方の貫禄にビビりっぱなしで、後日I さんが登場されたときは少々腑抜けになっていたのですよ。恥ずかしいなあ。しかしですよ、「福音館書店」というのは、それはもう…
文章を担当した高科さん曰く「ゴホンといえば龍角散 絵本といえば福音館」古いなあ、この人(笑)。しかしそれぐらい、福音館書店さんは、少なくとも私にとっては、超一流の作品を永きに渡って生み出してきた、絵本界の強力な泉なのです。『ぐりとぐら』『おおきなかぶ』『きんぎょがにげた』『ごろごろ にゃーん』『こんとあき』『だいちゃんとうみ』『プンクマインチャ』『やっぱりおおかみ』『エンソくん きしゃにのる』『だくちる だくちる』等々、ちょっと挙げただけでも目眩がしそうなぐらいの、キラ星の如く光り輝く古典・名作の数々!
更に言うと、私にとって福音館書店さんからペーパーバック形式のこどものともが出版になるというのは、1950年代60年代のアメリカ南部のチトリンサーキットでワンナイトスタンドを続けていた黒人ローカルシンガーが、或る日名門アトランティックレコードからシングル盤が出ることになりました、というのに等しいのです。(まさしくジョー・テックス!)え?わからないですか?そうか、、、わかる人にだけしかわからない例えですみません(笑)。そういえば同じことをI さんにも話したのですが、ほとんど意味が伝わっていませんでした💦
そのくらい福音館書店さんは、私にとっては憧れの出版社でした。その会社の編集者I さんと一から作品を創ることができる喜びは、大きなやる気に繋がっていました。幾度となく変更や訂正を提案されても、嫌々引き受けたことは一度もなかったと思う。I さんの穏やかな物言いの力も大きかった。(妙に納得してしまう!)またあくまで編集部での総意として、作品を読み取っての提案が戻ってくるので、創る側にとって外圧のように感じることが少なく、全方位型の絵本を目指して知らない間に福音館書店流ベルトコンベアに乗っかっていた私でした。