1056 <新刊絵本『イチからつくる カレーライス』1/3>
新春早々に新刊絵本が出版されることになりました。『イチからつくる カレーライス』というタイトルで、農山漁村文化協会(農文協)から1月10日に発売になります。言われる前に言っておくと、AB版という判型の36ページもので、お値段は税込み¥2,700と少々お高めです。昨年10月に出版された『はしをわたってしらないまちへ』がペーパーバッグ価格で税込み¥420で、コーヒー一杯分だったのと比べると、今回は高級レストランのランチぐらいのお値段ですが、お財布と相談せずに是非買って下さい(笑)。何卒よろしくお願いいたします。
『イチからつくる カレーライス』と聞いて、思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。2016年に公開された『カレーライスを一から作る』(前田亜紀監督 製作・配給ネツゲン)というドキュメンタリー映画がありました。関西では昨年夏に公開され、全国で上映が続いている作品です。武蔵野美術大学の教授である探検家・関野吉晴さんが、課外ゼミで学生に向けて呼びかけた「カレーライスを一から作る」というテーマを追った映画で、野菜・米・塩作りや家畜の飼育などを学生が中心となって行い、約9ヶ月間かけて一杯のカレーライスを作るという、なんとも興味深い作品です。
絵本ではこの映画を下敷きにして、絵本ならではの視点や展開で同じテーマをよりワイドに再考しています。編は関野吉晴さんで、絵を私が担当しました。作品の性質上、文字と作画に加え、写真や映画のスチール画像が数多く盛り込まれており、本としての全体像は知識絵本の領域に近いものかもしれません。学生達が挑む原始的?カレーライスだけでなく、普段私たちが口にしているカレーライスの分析も掲載されており、映画を見られた方もまだの方もこの新刊絵本手に取っていただければ、私たちが生きている日常が何を犠牲にして成り立っているのかを感じていただけると思います。