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1090 <新刊絵本『ミカちゃんのひだりて』3/4>

商業絵本を作って出版するとき、作者に並走してくれるランナーである編集者さんが大事なのは云うまでもありません。作り手としたら、放っておくところは放っておいてほしいし、議論が必要なところはしっかり議論してほしい。そのへんを見極めて、気持ちよく絵本を作らせて欲しい。こんな我が勝手な私のようなものと仕事をするのは、結構大変だと思う。それで、なんとかうまくゆくように、いつも作業開始の折にお互いが持っている意識を持ち寄って、共有したいと思っています。編集者と作家、職業は違うわけで、仕事内容や立場も違う。しかしいい本を作りたいという気持ち、それは一緒ではないでしょうか。


今回の編集者さんであるIさんとも、最初にその話をして、なんでも言ってほしい、なおすべきものはなおします、突っぱねるべきものは突っぱねますから。そう言ってスタートしました。そうしたら、Iさんは本当に多くのことを言ってこられました。中にはここまで言わなくても…と感じる項目もありました!が、そうしろと言ったのは私ですし、途中で離脱するのも見苦しいので、考えて考えて折々の解を探しました。注ぎ込んだエネルギーの多さでは、これまで作った自作絵本の中でも一番じゃないだろうかと思えます。それぐらい、Iさんからの要求に対抗するパワーは必要でした。全く、一度口から出した言葉は、二度と元には戻らないものですね(笑)。


『ミカちゃんのひだりて』をよいものにする。同じ目的を持って二人で会って、ああだこうだと共同作業をしているうちに(3時間ぐらいすぐに過ぎてゆく!)、作品は最初のものから徐々に変化してゆきました。私が提供した素材を、Iさんの目線で再度考え直す作業の連続でした。それは決して嫌なことではなく、私の単独制作時に抜け落ちた作品の栄養素を拾い集めることを意味していました。私は一人だと、ザルでろ過したような状態で、絵本の成分がほとんど残っていないようなところがあって、もっと精緻なフィルターで濾す必要がありました。その意味で、Iさんははまり役でした。まさしく、お互いにいい絵本を作ろうとしてやっていたと言い切れます。


Iさんは若い編集者さんで、ご自身の絵本作りに達観をしておられないからこそ、石橋を叩いて少しずつ渡る人だとお見受けます。その真摯な取り組みと直感は、信頼できるものでした。おかげでとてもいい勉強になりました。不完全極まりない作り手である私が作品を成就するためには、自分の過信ではなく、Iさんのフィルターを通過することでしか見えてこなかった道がありましたから。結果的に偶然とはいえ、なおすべきところはなおし、突っぱねるべきところは突っぱねて、『ミカちゃんのひだりて』の制作は終点までやってきました。口には出しませんでしたが、私、かなりフラフラでした(笑)。


無事発刊された『ミカちゃんのひだりて』のカバー表紙を見ていると、うちの近くにある老舗の喫茶店で、ダミー本を真ん中において、いい年をした男二人が、熱量の多いやり取りをしている絵が浮かんできますよ。絵本を作るのは難しいけれど、めちゃくちゃに楽しいと感じられた時間。あれは本当に素晴らしいひとときでした。またあの店のあの席で、絵本について何時間も議論できる日がくることを願っております。Iさん、感謝いたします。どうもありがとうございました。私も簡単にへばらないように、しぶとく生きて行きます♪


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件の喫茶店。奥が禁煙スペースになっている。
お決まりのモーニングで、朝一番から正午まで。
    店主さんが知り合いなので、気兼ねなくお構いなしの長居でした💦    





















by ekakimushi | 2018-07-02 17:42 | 絵のこと | Trackback | Comments(0)
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